ナチュラル

●730 ナチュラル 1984

 少年ロイが父親とキャッチボールをしている。幼馴染の少女がそれを見ていた。ある日突然父親が死亡してしまう。その夜、家の木に雷が落ち木が折れてしまう。少年はその木からバットを作り、ワンダーボーイと名付ける。

 青年となったロイはシカゴカブスの入団テストを受けることになる。将来を誓い合ったアイリスに別れを告げ、ロイは列車に乗る。そこでワーマーという有名な野球選手と一緒になる。列車が水補給のために停車した街で祭りが行われていた。ボールによる的当てをしていたロイは、ワーマーから勝負を持ちかけられる。ロイはワーマーを三球三振に切って取る。それを見ていた新聞記者のマックスはそれを1コマの絵にする。

 シカゴについてロイ。列車で知り合った女性ハリエットから部屋に呼ばれ、彼女の部屋へ。しかしそこでハリエットはなぜかロイを銃撃する。

 

 16年後、弱小球団ニューヨークナイツに35歳となったロイが新人契約をしてやって来る。しかし監督のポップはオーナーである判事が連れてきたロイを使おうとはしなかった。試合に出場することなくベンチに居続けるロイ。連敗が続くチームでは、勝つための講習が開かれるが、つまらないと感じたロイは途中で抜け出してしまう。監督は激怒、ロイに2軍行きを命じるがロイは拒否する。それを聞いた監督は翌日打撃練習に来るように言う。

 翌日の打撃練習でロイはホームランを連発する。試合で代打で出場したロイはボールの皮がもげるほどの打球を打ちチームに勝利をもたらす。ロイは一躍有名になり、マスコミや監督たちは彼の過去を調べ始める。シカゴにいたアイリスはニュースでロイが活躍していることを知る。

 チームの主力選手だったバンプが試合中の事故で亡くなってしまう。代わりに出場したロイはスタメンとなり、活躍を続ける。ロイに刺激を受けたチームメイトの活躍もありチームは連勝街道へ。ロイはコーチのレッドから、監督とオーナーである判事が賭けをしていることを聞く。判事はチームが優勝しなければ監督を交代させる、しかし優勝すれば判事がアウト、とのことだった。

 ロイは判事に呼ばれ新しい契約の話をされるが、チームは勝つと話を拒む。ロイはガスという男を紹介される。彼は野球を賭け事の対象にしていた。そこで監督の姪であるメモとも知り合う。彼女はかつてバンプと付き合っていたが、ロイと恋仲になる。しかしメモと付き合い始めたロイは調子を落とし、チームも負け始める。

 チームはシカゴでの試合へ。それを知ったアイリスが球場へやって来る。その日も全く振るわないロイだったが、最終打席でアイリスがきていることに気づき特大のホームランを打つ。試合後ロイはアイリスと会い、話をする。別れ際ロイは明日も球場に来て欲しいと話す。

 翌日もロイは大活躍。試合後にアイリスの家へ。そこで子供用のグラブを見つける。ロイはアイリスの子供に会わずに帰ることに。ロイが復調しチームも連勝を続け、順位を上げる。そして優勝まであと1勝というところまでこぎつける。

 ロイはパーティに呼ばれメモと再会する。そのパーティの場でロイは倒れてしまう。16年前の銃撃で受けた銃弾が体内に残っており、それが悪さをしていた。ロイは試合に出れば命に危険があると言われてしまう。チームは3連敗をし最後のゲームにかけることに。病室のロイは様々な人が訪れる。判事はロイに金を渡し八百長を持ちかける。アイリスもやって来てロイを励まし、息子を球場に連れて来ると約束する。

 最終試合当日、ロイは判事の元へ行き、金を返し試合に出ることを宣言。ロイは試合に出場する。アイリスは息子はロイの息子だと手紙を送る。2点差で負けている最終回の攻撃、ランナー2人を置いてロイは打席へ。ロイのバットは折れてしまい、バットボーイのバットを借りて打席へ。そしてサヨナラホームランを打つ。

 後日、農場で息子とキャッチボールをするロイ、それを見守るアイリスの姿があった。

 

 アメリカの野球映画という典型的な作品。

 しかしストーリーはだいぶ謎めいている。序盤で主人公が撃たれてしまうのは衝撃的。その理由は最後まで明かされず、その後16年主人公が何をしていたかも不明のまま。もし主人公があそこで撃たれなければどんなスタープレーヤーが生まれたのかと思うが…。

 一方で、16年後の主人公の辿るストーリーは定番中の定番。突然現れたヒーローでありながら、女が元で調子を落とす。そこへ昔の恋人が現れ復調。最後はチームを優勝に導く、というひと昔ふた昔前の漫画のストーリーのよう。

 球団オーナーが自らのチームの負けを望んでいる、というのは、「メジャーリーグ」でも使われたエピソード。MLBではよくあることなのかしら(笑 八百長を命じられた主人公がそれに抵抗する、というのも日本の野球漫画では定番だったなぁ。

 

 野球がテーマの映画なのに、なぜか光と闇が印象的に使われていたのも気になる。暗闇が好きなオーナーである判事、シカゴで主人公の試合を見に来た昔の恋人が客席で立ち上がったときの後光、ラストの主人公のホームランで起こる花火のようなあかりの中での幕切れ。

 「フィールドオブドリームス」は本作の5年後。あちらは随分とファンタジーだったが、本作はリアルとファンタジーの中間といったところか。何れにしてもアメリカ人は野球が本当に好きなんだなぁ。