タクシードライバー

●732 タクシードライバー 1976

 夜眠れないという理由でトラビスはタクシーの深夜運転手に応募する。彼は汚い街やその住民たちを忌み嫌っていた。仕事を終えた彼はポルノ映画を見ることで時間を過ごす。そんな彼が街で見かけたブロンドの美人に一目惚れをする。彼女はベッツィー、パランタイン大統領候補の選挙事務所で働いていた。トラビスは事務所へ出向き、選挙ボランティアに応募するふりをしながら、ベッツィーに声をかけお茶をすることに。彼女も普通ではない言動のトラビスに惹かれ、また会う約束をする。トラビスはタクシーの客としてパランタインを乗せる。彼はパランタインに街を浄化してくれと頼み、必ず投票すると約束する。

 ある夜、トラビスのタクシーに未成年の少女が乗り込んできて早くタクシーを出してくれと頼む。しかし男が彼女を車から引きずり下ろし去って行ってしまう。

 トラビスはベッツィーとデートをする。しかし彼はポルノ映画館へ彼女を連れて行き彼女は怒って帰ってしまう。その後彼はベッツィーになんども電話をし花を贈るが彼女からは拒絶される。怒ったトラビスは選挙事務所へ行きベッツィーに暴言を吐く。

 トラビスは妻の浮気現場へ向かう夫を客として乗せる。男は妻を銃殺してやるとトラビスに話す。運転手仲間溜まり場に行ったトラビスはその中の一人に現状の不安を訴える。しかしその仲間は酒を飲んで寝ろ、俺たちは敗者なんだとトラビスに語る。

 トラビスはいつかの少女が自分の車の前に飛び出してきたのに気づき、彼女の後をつける。しかし彼女たちは男をナンパする。それを見たトラビスは後をつけるのを止める。

 トラビスは闇の売人から拳銃を入手、さらに体を鍛え直し、ある計画を実行しようとする。パランタインの演説会場に行きシークレットサービスに話しかける。

 トラビスはある夜、スーパーで買い物をしていると強盗がその店を襲う。トラビスは持っていた銃で強盗を撃つ。トラビスは銃の所持証を持っておらず焦るが、を店主は銃を預かりトラビスを逃す。

 トラビスは両親へ手紙を書く。その後売春婦をしている例の少女を買いに行き、ポン引きの男を話す。そして少女とホテルへ行き話をする。少女はアイリス。トラビスはタクシーに彼女が乗り込んできたことを話し、こんな仕事をやめるように話すが、アイリスはポン引き男に助けてもらっていると答える。トラビスは明日また会いに来ると言い残し去っていく。翌日外でアイリスとあったトラビスは彼女の話を聞き、逃げるための金を用意すると話す。

 トラビスは武器を装備しパランタインの演説会場へ。しかしシークレットサービスに怪しまれその場から逃げる。トラビスはアイリスのいる売春宿へ行き、ポン引きの男たちを撃ち殺すが、自分も撃たれてしまう。警官が駆けつけるがトラビスは抵抗する力を失っていた。

 アイリスの両親がトラビスに感謝の手紙を送る。彼はマスコミによりヒーロー扱いされていた。しかしトラビスは怪我を治しタクシードライバーへ復帰する。そんな彼の元にベッツィーが客としてやって来るが、彼はすでに彼女への興味を失っていた。

 

 

 初めて見たのは数十年前。久しぶりに本作を観たが、記憶に残っていたのはデニーロの狂気だけで、ストーリーはすっかり忘れていた。

 そうか、一目惚れしたブロンド女性に手痛くフラれたのが引き金になって、デニーロは狂気に走るのか。もちろんそれ以前からNYの街やその住民たちをゴミ扱いして毛嫌いしていたわけだけど。

 拳銃を手に入れ体を鍛えるデニーロは徐々に狂人になっていく。この辺りのシーンは覚えていたなぁ。鏡に向かって話しかけるあたりのイかれっぷりが凄すぎる。

 大統領候補の演説会に行ったのにあっさりと逃げ帰るのは無様だが、その後の売春宿でのシーンがそれを忘れさせるほどエグい。wikiなどによればこのシーンに出演しているまだ少女のジョディフォスターを気遣って撮影されたとされているけど、約50年前ならこんなシーンは少女にはショッキングだったろうなぁ。

 ちなみにあまりに有名な作品なのでネットでも多く紹介されているが、このコラムが今回映画を鑑賞した後に読んで、一番よくこの映画を理解できた。

 

 蛇足。ネット解説によれば主人公のデニーロ〜トラビス、はベトナム戦争帰りだと記されているが、映画の中にそれを匂わせるシーンはなかったように思うんだが。原作小説があるわけではないし、映画の設定がそうだった、ということなのかしら。