空飛ぶゆうれい船

●278 空飛ぶゆうれい船 1969

 隼人は両親とモーターボートで楽しんでいる時、崖から落ちる車を目撃する。事故車に乗っていたのは、隼人の父の会社の黒潮会長夫妻だった。2人は会長を助け、近所の幽霊屋敷と呼ばれる家へ連れて行く。彼らはそこでゆうれい船長を目撃、船長は家族を殺されたと話をする。

 後日、隼人の父は黒潮会長に感謝される。黒潮会長の会社のものも含め、10隻以上の船がゆうれい船にやられている、という話も聞く。隼人は飲んでいたボアジュースも黒潮会長の会社が輸入しているものだと聞いて驚く。隼人と父は車で出かけていたが、渋滞にはまる。そこへ戦車が車を踏み潰しやってくる。街中にゆうれい船の使いのロボットゴーレムが現れ、戦車や戦闘機と戦う。戦いに巻き込まれ、父は負傷、家に帰る。しかし家も壊され、母は亡くなっていた。父母は病院に運ばれる。母を亡くし泣く隼人に父は隼人が実の息子ではない、隼人を拾った時に持っていた写真が時計の中に入っている、と告げ、亡くなってしまう。

 隼人は黒潮会長の家に呼ばれる。隼人は両親の仇を討ちたいと会長に訴える。そんな時にTVで緊急ニュースが流れ、ゴーレムとゆうれい船が戦うシーンが映される。会長は席を外す。ゆうれい船はゴーレムをやっつける。隼人は1人家の中を探索、兵器工場やゴーレムの姿を見てしまう。そして会長や国防長官が会議しているところを見かける。彼らは国防軍がゴーレムを操っていることを話していた。黒潮会長はゴーレムを使い、国防軍への兵器の売り込み、破壊された町の復興計画への参入を目論んでいた。

 秘密を知った隼人は警察に乗り込むが証言は信用してもらえなかった。その頃街では人々が消える事件が発生していた。隼人は街中で人がボアジュースを飲んで消失してしまうところを見てしまう。その時黒潮会長の一味に隼人は連れて行かれ、TVショーに出ることに。隼人は会長を助けた少年として紹介される。しかし隼人はその場で真実を述べる。その瞬間、TVではボアジュースのCMが流れ、会場や街はロボットに襲われる。ロボットはボアの使いで、ゆうれい船を破壊できなかった黒潮会長を責めていた。

 隼人もロボットに襲われそうになるが、ゆうれい船に助けられていた。そこで隼人は船長と話す。なぜゆうれい船が船を襲ったかを知り、ボアの目的を教えてもらう。そしてボアの本拠地を教えてもらう。しかしその最中にボアジュースのせいで隼人は暴れてしまい、ゆうれい船がボアに襲われてしまい、隼人や船長は負傷する。隼人は仮面を脱いだ船長の顔を見て、自分の本当の父だと知る。隼人は、2人を看病していた少女ルリ子から2人でボアを倒そうと言われ、ゆうれい船で敵の本拠地へ向かう。タコロボットなどに妨害されるが、なんとか倒し、本拠地へ船ごと特攻し、自分たちは脱出する。特攻を受けた敵本拠地は貝の化け物で死んでしまい、街中のロボットも停止する。

 

 子供の頃、夏休みなどによくTVで放送されていた1本。数十年ぶりに見たかも。

 「長靴をはいた猫」と同様、これも宮崎駿がスタッフとして加わっていたことが知られている。街中で戦車が車を踏み潰すシーンなど、ルパン三世第2シリーズ最終話と全く同じであるし、敵が兵器を国に売り込もうとするのも同じ。

 50年前にすでにこのようなアニメが作られていたことが驚きだが、この時代の方が作品に込めたメッセージ性が強いとも言えるのだろう。もちろん子供の頃にはそんなことは全く思わなかったし、感じなかったけど。

 子供の頃の記憶で今回見ても覚えていたのは、「ゴックリゴックリコンとボアジュース」のCMフレーズかな(笑

 60分でこれだけのストーリーを描いているので、だいぶ無理はあるが、50年前の作品に文句を言っても仕方がない。懐かしい一本だった。