●366 鉄道員(ぽっぽや) 1999
乙松は鉄道一筋で生きてきた男で、今は幌舞駅の駅長。しかし幌舞線は廃線が決まっていた。彼は生まれたばかりの一人娘雪子を亡くしていた。
ある日駅で仕事をしていると幼い女の子が迷い込んでくる。乙松は彼女と会話を交わす。その日乙松の同僚杉浦が乙松を訪ねてくる。彼は乙松の妻静枝が亡くなった時のことを思い出していた。静枝の最期の時も乙松は仕事で立ち会えていなかった。乙松は駅に女の子が持っていた人形が忘れられていたことに気づき預かることに。
乙松と杉浦は一緒に酒を飲む。先に定年する杉浦はまもなく定年を迎える乙松に新しい仕事を紹介するが、乙松は受け入れなかった。二人は酒を飲む。
雪子が生まれそして病気で亡くなった時の回想。集団就職を見送った時の回想。
杉浦が酔潰れると、女の子の姉が人形を取りに来る。
乙松が生まれたばかりの雪子に人形を買った時の回想。乙丸は女の子の姉に暖かい牛乳を飲ませると彼女は乙松にキスをして去っていく。
杉浦が起き、若かった頃の思い出話をする。
飲み屋での喧嘩、九州から来た炭鉱夫との出会い、炭鉱での事故、炭鉱夫の息子敏行を養子に受け入れようとしたが、妻静枝が倒れダメになった話、その敏行が成長しイタリアへ修行に旅立つ時の回想。
敏行が帰って来て、幌舞駅前で店を始めようとする。同じ鉄道会社に勤める杉浦の息子が乙松に電話をして来る。幌舞線の廃止が予定より早まるという話だった。乙松は駅のホームに出る。
静枝に子供ができた時の回想。
駅舎に戻ると人形の女の子のさらに姉が訪れていた。彼女は鉄道が好きだと言い、二人はしばらく話し込む。
静枝が病気になった時の回想。
乙松が終電車を見送り駅舎に戻ると、彼女が鍋を作って待っていた。喜び涙ぐむ乙松。そこへ電話がかかって来る。人形の姉妹の身内だと思っていた人からの電話で、彼女たちは帰って来ていないと告げられた乙松は、彼女たちが雪子だと気づく。乙松は雪子と話し涙する。雪子はいつのまにか姿を消す。乙松は日誌に異常なしを記載する。
翌朝幌舞駅のホームで乙松が倒れているのが見つかる。杉浦たちは乙松の遺体を幌舞線に乗せ、杉浦が運転をし、幌舞駅を出発する。
健さんの晩年の映画は全て観ているつもりだった。この映画も若い広末涼子の印象が強く観ていたつもりだったが、今回観てこれは初見だったと気づいた。結末に全く記憶がなかった。
映画は健さんには珍しいファンタジー、と言って良いだろう。訳ありげに登場する女の子たちに最初は首をひねるが、二人目の雪子(小学生?)がトイレに行っている間に流れる回想シーンで、彼女たちが雪子であることがある程度わかる。そして広末。鉄道が好きだと公言、鉄道員と結婚するというセリフで間違いないと確信。そしてラストは健さんの死。定年を迎え周りが今後を心配する中での結末としては仕方なしか。
それにしても広末は見事に健さんの相手を務めている。健さんと広末との会話シーンは約20分以上も続くが、しっかりとしたラストになっているのでは。
ストーリーとしては回想シーンと現在のシーンとの区別がわかりにくい。健さんが黒髪か白髪混じりかの違いが見分け方か(笑 本当はカラーかモノクロかで違いを見せているのだろうが、妻や娘の死に加え、炭鉱夫志村けんの息子とのエピソードも絡んで来て話が少しごちゃ混ぜ気味。まぁ本線は雪子と乙松との会話なのだろうから良いのかもしれないが…。
wikiによると元々主役は板東英二がやる予定だったらしいが、それだと人情噺の側面が強い映画になっていただろうなぁ。健さんが主役のため、生真面目な鉄道員ぽっぽやの側面が強い映画になったと思う。雪の中で耐える健さんはやはり絵になる。
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