●368 子鹿物語 1946
1878年バクスター家はフロリダジョージ湖側に引っ越し、未開地の切り開き家を建て夫ペニイ、妻オリー、息子ジョディーの3人で暮らしていた。
ジョディーは野生のアライグマをペットとして飼いたがるがオリーは以前に幼い子供達を亡くしその子供達の墓を動物に荒らされており、新しい生き物を飼うことを許さなかった。
ある日小屋の子牛が熊に襲われて殺されているのを発見。ペニイとジョディーは猟犬とともに熊退治に森へ出かける。しかし猟銃が機能せず熊を逃してしまう。
翌日ペニイは逃げてしまった猟犬をフォレスター家で新しい猟銃と交換することを思いつく。ペニイとジョディーはフォレスター家へ。ジョディーはフォレスター家の末弟フォダーウィングと遊ぶ。彼は幼いころ空を飛ぼうとしてケガをし足を引きずっていたが動物好きでジョディーと話があった。ペニイはフォレスター家のレムとの話で猟犬と銃の交換に成功する。
ペニイとジョディーは街へ。街の商店でジョディーは店の娘からからかわれ、娘を泣かしてしまう。街にはジョディーが好きな若者オリバーが帰ってきていた。オリバーの恋人はトウィンクだったが、フォレスター家のレムが彼女を口説こうとしレムとオリバーが喧嘩をしていた。ペニイとジョディーはオリバーに加担する。
喧嘩をして帰ってきた二人を見てオリーは怒るがペニイがオリーのために買ってきた服を見て涙する。
バクスター家の豚が盗まれる。盗んだのはフォレスター家だと思われた。ペニイとジョディーは調べに行く。そこでペニイは蛇に噛まれてしまう。その時見つけた鹿を撃ちその内蔵で手当てをする。ジョディーはフォレスター家へ医者を呼ぶように頼む。ペニイは医者の治療もあり一命を取り留める。
ジョディーは鹿を撃った際に近くに子鹿がいたことを思い出し、父に子鹿を飼うことを求め認めてもらう。ジョディーは子鹿を探し出し買い始める。彼が育て子鹿は成長し一緒に遊ぶように。ジョディーは子鹿の名前をフォダーウィングに名付けてもらおうと彼の家へ行くが、彼は死んでしまっていた。しかし彼は死ぬ前に子鹿の名前をフラッグと名付けていた。
嵐が来てバクスター家の育てていた農作物が大被害を受ける。それでもペニイはまた農作物を育てはじめ、タバコを育ててその資金で井戸を掘ることにする。
街でオリバーとトウィンクの結婚式が行われ、バクスター家は一家で参加する。家に戻るとタバコの苗が食い荒らされていた。犯人はフラッグだった。ペニイとジョディーは畑を新しく開墾しトウモロコシを育てようとするが、ペニイは体を壊してしまう。しかしそのトウモロコシもフラッグが食べてしまう。母はフラッグを森へ返すように言うがジョディーは拒否、ペニイは新しいトウモロコシの種を蒔き、畑に高い柵を作るようジョディーに命じる。それでもフラッグは柵を乗り越えトウモロコシの苗を食べてしまう。
ペニイはジョディーにフラッグを森に連れて行き撃ち殺すように命じる。しかしジョディーにはできなかった。家に戻ったジョディーとフラッグ。母オリーがフラッグを銃で撃つが撃ち損じてしまう。それを見たジョディーは父に暴言を吐き、フラッグを撃ち殺し森へ逃げてしまう。森をさまよったジョディーは小舟に乗り川を漂流しているところを大型船に助けてもらう。
家に戻ったジョディーを両親は温かく迎え入れる。
優しいタイトルで、映画前半はジョディーが子鹿と楽しく遊ぶ情景が描かれる。子供向きの可愛い映画だと思ってそのまま観ていたが、後半物語は大きく動く。嵐が農作物をダメにし、それでも立ち上がろうとする一家だったが、子鹿が何度もそれをダメにする。そして悲しい子鹿との別れ。
映画冒頭でアメリカの開拓に苦労した人に捧げる、というメッセージが流れるが、まさにこのような苦労があったんだろうなぁと想像できる。ジョディーの成長物語とも思える一本だが、苦難にあっても何度でも立ち上がり直そうとするペニイの言葉が本来のテーマなんだろう。妻オリーが子供を何人も亡くしていたりするのも同じか。
ジョディー役の子役が女の子のように可愛いのも目についた。アカデミー子役賞を受賞しているのも納得。しかしこの後あまり映画に出演していないようで残念。