ワイルドバンチ

●394 ワイルドバンチ 1969

 兵隊に変装した強盗団が鉄道会社を襲い金をせしめる。しかしこれは事前にバレており強盗団は賞金稼ぎたちに待ち伏せされていた。銃撃戦となるが強盗団はなんとか逃げる。賞金稼ぎたちはソーントンをリーダーとした囚人たちで、鉄道会社が雇ったものたちだった。ソーントンも囚人で強盗団のパイクの昔の仲間で、鉄道会社からはパイクを捕まえれば釈放してもらえることになっていた。

 強盗団で生き残ったのはリーダーのパイク、相棒のダッチ、ゴーチ兄弟、メキシコ人のエンジェルだった。彼らは仲間の老人サイクスが待つアジトへ。そこで奪ってきた金の袋を確認すると中身は鉄の輪だけだった。パイクたちは今回の仕事を最後にして引退するつもりだったが、金を奪えず次の仕事を探すことに。

 6人はエンジェルの故郷の村へ。村は政府軍であるマパッチ将軍に襲われており、エンジェルの恋人テレサも将軍たちについて行ったと聞かされる。6人は村で歓迎されるが、次の村へ。そこには将軍たちの軍隊がいた。エンジェルは将軍に寄り添うテレサを見て彼女を撃ち殺してしまう。将軍は驚くが、テレサがエンジェルの元恋人だと聞き許す。将軍の元にいたドイツ軍人が6人の持つ拳銃に興味を持ち、屋敷へ誘われる。将軍は6人にアメリカの列車を襲い武器を盗んでくれば1万ドルを報酬として出すと話し6人はその仕事を引き受ける。

 皆は1万ドルの仕事に乗り気だったが、エンジェルは親を殺した将軍に加担する気にはなれなかった。パイクは武器の一部をエンジェルの故郷の村へ渡すという条件でエンジェルを仲間に引き入れる。一方、ソーントンはパイクたちが列車を襲うことを知り、鉄道会社へもっと仲間を増やすように申し入れる。

 6人は武器列車が水補給のため停車した時に武器車両と護衛たちが乗る車両を切り離し、見事に武器を奪うが、事前にそれを察知していたソーントンたちは馬に乗り彼らを追う。6人は橋を爆破することでソーントンたちの追跡を振り切る。

 その頃将軍は革命軍に襲われ困っていた。将軍は部下にパイクたちの盗んだ武器を奪ってくるように命じる。6人は将軍の部下たちと出会うが、武器を奪われると予想していたパイクはあらかじめ武器に爆薬を仕掛けており、それを脅しにして取引を持ちかける。そして4回に分け交渉をし武器と金の交換に成功する。しかしエンジェルが武器の一部を革命軍に渡したことがバレており、エンジェルは軍に捕まってしまう。

 パイクたちはエンジェルを助けに行こうと相談するが200人を相手するのは無謀だと悟る。その時一人離れていたサイクスが戻ってくるが、ソーントンたちに撃たれてしまい山へ一人逃げる。パイクは将軍の元へ行き、ソーントンたちの撃退を頼むことにしサイクスを見捨てて行く。サイクスは革命軍たちに捕まる。

 パイクたちは将軍の元へ。そこではエンジェルが酷いリンチを受けていた。パイクは金でエンジェルを取り戻そうとするが将軍は受け付けない。パイクたちは女を抱き翌日を迎える。そして4人は将軍の元へ。将軍はエンジェルを返すと言うが、4人に渡す前にナイフでエンジェルの喉を搔き切る。4人は将軍を射殺し、軍と大銃撃戦が始まる。圧倒的不利の中、機関銃を奪うなどして4人は200人を相手に銃撃戦を続けるが、4人とも撃たれてしまう。

 パイクたちを追っていたソーントンが村へ。大銃撃戦の後を見てソーントンは言葉を失う。そこへサイクスが革命軍とともにやってきて、ソーントンを昔通りの仕事に誘う。ソーントンはサイクスたちとともに去って行く。

 

 久しぶりの西部劇。しかしこの1本は「最後の西部劇」と呼ばれるものだったらしい。西部劇にありがちな勧善懲悪の物語ではなく、「ワイルドバンチ」と呼ばれた強盗団の無法ぶりと最期の時を描いている。

 パイク率いる強盗団6人もソーントン率いる追跡チームも、決して一枚岩ではない。追跡チームはもともと囚人たちの集まりであり仕方ないところでもあるが、強盗団も非情な男たちであり、時に仲間を見捨てたり、喧嘩をしたりする。しかし何かあれば皆で大声で笑い合うのが印象的。引退を考え平和な暮らしを目指そうと話すが、無法者である彼らにそれは許されない、というメッセージだろう。

 サムペキンパー監督の最高傑作と言われているらしいが、冒頭のサソリと蟻のシーンから印象深い。そこから冒頭の銃撃戦、そしてラストの大銃撃戦。圧倒的な暴力が描かれる。特にラストの大銃撃戦では4人で200人を相手にするという無謀さ。まさに滅びの美学か。ずっと彼らを追い続けてきたソーントンの脱力感が銃撃戦を締めくくる。ニューシネマと言われるのも理解できる。

 ダッチ役の俳優さんに妙に見覚えがあったが、「ポセイドン・アドベンチャー」の刑事さんだったのね。ジーンハックマン演じる牧師に反抗的でありながら、最後まで生き残るあの人か。