太陽の中の対決

●398 太陽の中の対決 1965

 アパッチ族が野生の馬を捕まえているところへ白人ビリーがやって来て、ジョン・ラッセルにメンデスがデルガドの中継所で待っていると伝える。ラッセルは白人だが、アパッチ族に育てられ一緒に暮らしていた。

 ラッセルは仲間とともにメンデスに会いに中継所へ。そこでメンデスからラッセルの育ての親が亡くなったこと、彼が残した下宿屋が遺産としてラッセルに残されたことが告げられる。メンデスは白人としての暮らしに戻るようにラッセルに勧める。そこへカーボーイがやって来て、ラッセルの仲間のアパッチをからかう。ラッセルはカーボーイを殴り中継所から追い払う。

 ラッセルが受け取ることになる下宿屋はジェシーという女主人が経営し、メンデスや保安官フランクや若い夫婦ビリーとドリスなどが暮らしていた。ラッセルが下宿屋にやって来て、下宿屋を馬の群れと交換するつもりだとジェシーに話す。

 ジェシーは保安官フランクのところへ行き、結婚してくれと申し込むが断られる。

 メンデスがやっている駅馬車発着所へフェイバー夫婦がやって来て駅馬車に乗りたいと話す。メンデスは鉄道が惹かれるため駅馬車は廃止になったと伝えるが、金を払うので馬車ごと買い取りたいと話し、メンデスは了承する。その駅馬車にビリー夫婦、ジェシーラッセルも同乗することに。

 夜発着所にグライムズと名乗る男がやって来て、他の客の乗車券を強引に奪い駅馬車に乗ることに。駅馬車は彼らを乗せて出発する。

 道中、フェイバー夫婦はアパッチの居留地の管理人だったことを話し、夫人はアパッチの野蛮さを非難するがラッセルは弁護し、アパッチであることがバレてしまう。中継所でフェイバーはメンデスにラッセルを馬車から出すように頼む。メンデスはラッセルに話し彼も同意する。中継所の主人が男たち3人が少し前にここを通ったことを告げる。メンデスは彼らが強盗であることを考慮し、当初のルートとは異なる鉱山を通るルートで行くことにする。

 駅馬車は鉱山跡地で休憩、その後も休憩をしながら山道を進む。きつい傾斜の山道で客は降り徒歩で山道を進む。そこで待ち伏せしていた強盗に出会う。彼らは中継所の主人からルートを変えたことを聞き出していた。グライムズは強盗の一味だった。さらに強盗一味の中には保安官フランクもいた。グライムズたちの狙いは、フェイバーが居留地で不正に稼いだ金だった。フェイバーはアパッチの食料費を横領していたのだった。グライムズはフェイバー夫人を連れ去る。残った強盗をラッセルが隙を見て撃ち殺す。彼らは中継所で揉めた相手だった。

 ラッセルは銃を持って山を登る。他の客も金などを手にしラッセルを追う。ラッセルはこの場で待ち伏せてグライムズを倒すつもりだった。

 強盗たちが戻ってくる。その中の一人メキシコ人が金と夫人の交換を要求するが、ラッセルは彼を撃つ。致命傷とはならず、ラッセルは夫人を殺しても良いとグライムズに伝えろとメキシコ人に話し、彼を戻らせる。ラッセルたちは徒歩で場所を移動するが、暑いため夜を待つことに。休憩中にフェイバーがメンデスから銃を奪い皆を脅すが、ラッセルが気づき、フェイバーを一人皆がいる場所から去らせる。

 彼らは夜移動し、鉱山跡地まで戻ってくる。街が近いため皆は街へ帰ることを望むがラッセルは強盗たちが近くにいることを考慮しここで休むことに。そこへフェイバーがやってくる。ラッセルは助けるつもりはなかったが、ジェシーが彼を助ける。そこへグライムズたち3人と夫人がやってくる。二つの小屋でにらみ合う形に。

 グライムズがラッセルたちの小屋のそばまで来て、再度金と夫人の交換を要求する。しかしラッセルはそれを断り、小屋に戻るグライムズを撃つ。彼はケガをする。強盗の一人が山を登り、ラッセルたちの裏に回ろうとする。メキシコ人は夫人をラッセルたちから見える場所へ拘束、金をよこさないと夫人が死ぬと脅す。ジェシーは夫人を助けるべきだと主張、ラッセルはならば自分で金を持っていけ、その代わりきっと撃たれてしまうと話す。それでもジェシーは金を持って行こうとする。それを見たラッセルはビリーにライフルを渡し、金は居留地へ持って行ってくれ、と託す。ラッセルは金の袋だけを持って夫人の元へ。

 ラッセルはグライムズとメキシコ人に挟まれる形になる。ビリーが小屋からライフルでメキシコ人を狙うが、助けられた夫人が邪魔になりメキシコ人を狙えない。金の袋の中に何もないことに気づいたグライムズたちと撃ち合いになり、二人を倒すが、ラッセルも撃たれてしまう。最期にメキシコ人は自分を撃った男の名前を聞きたがる。

 

 珍しいポールニューマンの西部劇。しかもニューマンはアパッチに育てられたという設定。西部劇もこの時代になると平凡なストーリーではなくなり、一捻りも二捻りもしてくる。ニューマンの設定だけではなく、駅馬車に様々な人間たちが同乗、しかもその駅馬車が強盗に狙われるというロードムービー的要素も強い。

 駅馬車の乗客たちで交わされる会話が良い。困っている相手に対する人間の接し方、女性から見た理想の男性像と現実、天国と地獄の存在。そんな中、ニューマン演じるラッセルの常に冷静な態度がカッコ良い。

 後半の金と夫人の交換のやりとりも見せ場。ラッセルはメキシコ人やグライムズを撃つが彼らは致命傷を負わず、さらに交渉をしてくる。それに対するラッセルの冷静な判断。しかし最後にジェシーの熱意に負け、自ら現場に出向くラッセル。

 ビリーにライフルを託すが、それも無駄になってしまうラスト。アパッチの野蛮さを非難し、食料費を横領した相手の夫人を助けるために死んでしまうラッセル。無情さが漂うラスト。4年後に製作される「最後の西部劇」と言われる「ワイルドバンチ」に通じるものがある。