鬼滅の日本史 小和田哲男

●鬼滅の日本史 小和田哲男

 戦国武将のことを勉強するために、小和田さんの本を探していて偶然見つけた一冊。

 昨年大ヒットした鬼滅の刃に便乗したと思われる(笑 しかし「鬼滅の刃」関連の絵、イラストなどは一切なし。それでも内容はなかなか面白かった。

 日本における昔からの「鬼」とはどんな存在だったのかを過去の文献などから詳しく説明、「鬼滅の刃」に登場するキャラクタなどと実際の事象との比較、「鬼滅の刃」の中の状況や設定を歴史上から推察、最後に「鬼」とは何だったのかを分類して解説。

 

 この本は最終章の「鬼とはなにか」から読み始めるのがわかりやすいかも。日本における過去の「鬼」を5つに分類。「神」「山に住む」「仏の世界」「恨みから生まれた」「鬼にされた人々」という分類で、それぞれに特徴がある。これを理解した上で、その前の章を読むと頭に入りやすい。

 「鬼滅の刃」のキャラと実際の現象を比較しているが、中には強引に両者を結びつけていたり、ただ単に似ている二つを取り上げているだけだったり、なども多いが、非常に似た設定・状況と思わざるを得ないものもあり、「鬼滅の刃」の作者が日本における「鬼」伝説をしっかりと把握していたことも伺える。

 「コロナ」状況の日本だからこそ「鬼滅の刃」がヒットした、という分析もありちょっと強引に思えるが、あとがきで著者が述べる、日本では「異質なもの」を「鬼」とみなし敵対して来たが、昨今の日本では自粛警察のように自身が「鬼」となる状況も多い。「鬼滅の刃」で炭治郎が鬼に心を寄せた態度が、現代での「鬼」との付き合い方を示している、という文章はなるほどと思わせる。