●728 騎兵隊 1959
南北戦争時。北軍は南軍よりも兵力があるにもかかわらず攻略を阻止されていた。そのため、南軍の補給の拠点であるニュートン駅を攻略することをマーロー大佐は将軍から命じられる。マーローは極少数の3部隊で敵陣480キロまで戦闘をすることなく潜入し、駅を破壊する計画を披露、ただし脱出方法は明かさなかった。
マーローは訓練所であるラグレーンジで部隊に計画を説明、閲兵式に参加するという兵の中での噂を利用し、極秘でニュートン駅へ向かうことに。そこへケンドール少佐という軍医が将軍に配属されたと言ってやってくる。少数部隊で向かおうとしていたマーローはケンドールの参加に不快感を示すが、規則だと言われ仕方なく了承、ケンドールに部隊の名簿を与え、病人などは置いていくようケンドールに指示する。ケンドールはマーローの右腕である曹長がマラリアに罹っているという理由で部隊への参加を許可しなかった。マーローは代わりの曹長を連れていくことに。
部隊はニュートン駅へ向けて出発。南軍の支配圏内に入り、尖兵が南軍に襲われる。マーローは南軍に気づかれたため、1部隊に引き返すように命じて敵の目を欺くことに。そんな中、ケンドールは南軍の原住民である黒人の家でお産を手伝う。マーローはケンドールに部隊の人間だけを治療するように命じる。
部隊はグリーンブライアーの地に到着。そこで一般市民の家を訪れ、野営をすることを伝える。その家では女主人ハンナがメイドのルーキーと暮らしていた。ハンナは北軍を毛嫌いしていたが、なぜかマーローたちを夕食に招待、マーローたちはそれを受け入れる。皆で食事をご馳走になり、一室を借りて今後の計画を確認する。マーローは軍医であるケンドールの同席を拒否、ケンドールはハンナに部屋に招かれるが、ハンナが密かにマーローたちの話を聞いているのを見つけマーローに報告する。マーローは情報漏洩を恐れハンナとルーキーを部隊に同行させることに。
ハンナは途中逃亡を企てたり、移動中の南軍に北軍がいることを知らせようとするなどするが、マーローたちがなんとかハンナの企てを阻止する。
部隊はいきなりの襲撃を受ける。相手は南軍からの脱走兵たちで、保安官を逃れるために土地の保安官を拉致していた。ハンナは保安官に同情、マーローは脱走兵たちからこの先ニュートン駅までの南軍の配置を聞き出したところで、彼らを殴りあとの処置は保安官に任せる。
部隊はニュートン駅へ。南部の住民たちから非難されるが、部隊は貨物などを破壊する。そこへ列車到着の知らせが来る。マーローは南軍の兵たちが行動から、列車に南軍の応援部隊がいることを察知、迎撃体制を整え列車到着を待つ。マーローの読み通り列車には南軍兵士が多数乗車しており戦いとなるが、北軍は南軍兵たちを倒すことに成功する。多数の死傷者が出たため、ケンドールは土地の意思と協力し治療に当たる。ハンナもそれを手伝う。部隊は駅舎や列車などの破壊を実行、任務を遂行する。もともと鉄道技師だったマーローはその行為や味方にも死傷者が出たことで街の酒場で酒を煽る。そこへ死傷者の治療に疲れたハンナがやって来る。しかしマーローはケンドールのことをバカにし、ハンナから非難される。マーローはかつて妻が医者の力不足で死んでしまったことを告白する。
部隊は来た道を帰るのではなく、敵陣をさらに深く南下し味方部隊と合流するルートを選ぶ。途中、南軍の兵に待ち伏せされ攻撃を受け、ルーキーが射殺されてしまう。部隊の皆はハンナを気遣う。マーローはルーキーが死んだことを謝罪する。味方兵も戦闘の影響で亡くなってしまう。
南軍訓練所に命令が下り、少年兵たちが部隊を待ち構える。ケンドールはマーローのやり方に不満が爆発し、二人は殴り合いで決着をつけようとする。そこへ少年兵たちの部隊が攻撃を仕掛けて来る。敵が少年兵ばかりであることに気づいたマーローは戦わず逃げることに。さらに南軍が道を封鎖していることを聞きつけたマーローは土地の宣教師の協力を得て、沼を通り進むことに。
部隊は橋に到着。これを渡れば、というところだったが、対岸には南軍が待ち構えていた。さらに後方から南軍が追って来ていた。マーローは対岸の南軍と戦い始める。しかしマーローは銃撃を受け負傷してしまう。他にも負傷兵が出る。マーローはケンドールの治療を受けつつ、一部の部隊を側面攻撃させることで対岸の南軍を倒す。
マーローはハンナを橋の手前に残しさるつもりだったが、負傷兵がいるためケンドールも残ることに。二人に別れを告げマーローたちは橋を爆破し、橋の対岸へ去っていく。
有名なタイトルで、しかもジョンウェイン主演の1本のため過去に見ていると思ったが今回が初見だった。
同じ年に公開されたジョンウェインの映画「リオ・ブラボー」のブログに書いたが、この年辺りまでが西部劇の黄金期だったらしい。確かに本作も良く出来た一本だと言える。それまでの西部劇とは異なり、南北戦争を描きつつ〜敵は先住民でもなければ、町の悪者でもない〜、主人公ジョンウェインが絶対的な正義とは描かれていない。
南部の人間であるハンナを部隊に同行させ危険な目にも合わせ、メイドだったルーキーを死に追いやってしまう。軍医のケンドールとも度々衝突するが、それは過去の出来事から医者そのものを信用していない姿として描かれる。
それでも南部の脱走兵は保安官に引き渡すし、敵の少年兵を前にすれば戦闘をすることなく逃亡を図る。マドンナであるハンナがジョンウェインに惚れるための展開とも思えなくはないが、南北戦争そのものを善と悪という形では描きたくなかったのだろう。
敵の補給拠点である駅の破壊は見応えがあった。駅舎や列車と爆破するだけではなく、線路を焼き曲げる行動はなるほどと驚いた。ただその直後の南軍兵士とのたたかいで、列車に潜んでいた南軍兵士が何も考えず北軍に突っ込んでいったのは、そんなものだったのだろうか。南軍があまりに無策でちょっとおかしいと思うのだが。
それでも本作のジョンウェインはカッコ良い。映画公開当時でまだ50歳を少し過ぎたところ。晩年の作品に比べれば、まだ若く殴り合いや女性に殴られるのも画になっていた。
蛇足。昔から西部劇で使われる音楽には聞き覚えのある曲が多かったが、本作途中部隊の一部が帰還する場面で使われていた「ジョニーが凱旋するとき」は昔からとても好きな一曲。これがジャッキーチェンの「プロジェクトA」のあの曲の原曲なのね。