11人のカウボーイ

●531 11人のカウボーイ 1971

 男たちが牧場へやって来る。牧場には荒馬を調教しているウィルがいた。ウィルは1500頭の牛をベルフーシュの街へ売りにいく予定で、男たちを雇うつもりだったが、男たちは川での金探しに行くと言い出す。ウィルは彼らと決別。

 同行する者を探すウィルだったが、あてにしていた友人たちは全て事情がありダメだった。友人のアンスは子供たちを使うことを提案。ウィルはアンスとともに学校に見学に行くが、そこにいたのはまだ幼い子供ばかりだった。しかし翌朝アンスに言われた子供たちが早朝ウィルの家を訪ねる。ウィルは諦めさせるために荒馬に乗れたら考えると伝えると、子供たちは荒馬を次々と乗りこなしていく。自分の子供を亡くしているウィルは学校へ行き、子供たちを雇うことを宣言する。

 夏休みになりウィルは子供たちを訓練する。学校では見かけなかったシマロンという子供も参加しようとするが、彼は子供たちの中の年長者スリムと喧嘩をしてしまったため、ウィルは彼に出て行けと怒鳴る。

 訓練中、ワッツと名乗る男がウィルに雇って欲しいと言って来る。しかし彼はウィルに嘘の経歴を話しそれがバレてしまい、嘘を嫌うウィルに断られる。

 牛を運ぶ旅には料理人が必要でウィルは白人コックを雇うつもりだったが、彼の代わりに黒人コックのナイトリンガーが現れる。白人の代わりに来たという彼をウィルは雇うことに。

 子供たちの両親たちに見送られ牛運びの旅が始まる。シマロンが一行のあとをつけて来るがウィルは気にしなかった。ある時川を渡る際にスリムが川に流されてしまう。シマロンはそれを助け、ウィルはシマロンも一行に加える。

 厳しい旅をなんとか子供たちは乗り越えていく。途中、はぐれた馬を追った子供が、密かに一行の後をつけていたワッツ一味に捕まる。ワッツは子供に自分たちのことを話さないようにと脅し帰らせる。ウィルたちはワッツ一味が後を追って来ているのに気づく。子供が事実を告白する。その夜、ワッツ一味がウィルたちを襲う。ウィルたちの銃を積んだナイトリンガーの馬車は故障したため、同行していなかった。

 ウィルはワッツに毅然とした態度で臨み、殴り倒す。怒ったワッツは拳銃でウィルを撃ち殺し牛を奪っていく。遅れていたナイトリンガーはウィルから子供たちのことを託される。皆でウィルを埋葬する。子供たちはナイトリンガーの隙をみて彼を縛り上げ、銃を確保し、ワッツたちへの復讐を誓う。ナイトリンガーも彼らに手助けする。

 牛を見つけた子供たちは、一味を一人ずつ倒して行き、最後にワッツ一味の残党と銃撃戦となり、一味を全滅させる。牛をベルフーシュの街まで届けた子供たちは、ウィルの墓標を買い求める。そして自分たちの街へ帰っていく。

 

 ジョンウェインの映画もこれで20本目。ウェインの晩年の作。晩年の作では、古き良き時代の西部劇とは異なる設定が多い。強い女性がウェインとともに戦う作品もあったが、本作は異例中の異例、ティーン、しかも15歳以下の子供たちが主役と言える一本。

 さらに終盤でウェインが悪者にあっけなく銃殺されてしまうというショッキングなシーンもある。ちょっと「グラン・トリノ」を思い出してしまった。追って来たワッツ一味を前にしたウェインが、子供たちに教えた通りに、と話すシーンがあるが、昼間ワッツ一味の存在を知った段階で、子供達には抵抗しないように話してあった、というのがわかる。それでも最後にワッツをぶちのめすシーンはカッコ良かった。

 学校で背の高さを参加の条件にしたシーンのユーモアや、子供たちが酒を飲むシーンや女性だけの旅の一行とのやりとりなど、クスッと笑える場面もある。

 ウェインも晩年は次の世代へ西部劇を託す思いが強かったんだろうと感じさせてくれる一本。晩年の哀愁を漂わせる老人を演じたウェインも良いが、本作のようなウェインも良い。若い頃の作品を除けば、ウェインのベストの一本と言える。

 

 蛇足。映画の音楽が「あの」ジョン・ウィリアムズでビックリ。冒頭の曲のノリが良いとは思ったが。約50年前のこんな映画から既に音楽を作っていたなんてと感動していたら、wikiによると活動開始はこの映画のさらに10年前、1961年からだそうで。さらにビックリ。