グラン・トリノ

●083 グラン・トリノ 2008

 頑固者で身内からも煙たがれているコワルスキーは妻を亡くす。その葬式やその後の集まりでも孫や客の態度に腹をたてる。元フォードの組立工である彼は日本車に敵意を持っており、愛車グラン・トリノを愛している。その日隣のモン族の家では赤ちゃんの誕生祝いが行われていた。近隣はモン族の家が増えており、彼はそれも嫌っていた。

 隣家の少年タオは近所のヤンキーに黄色人種ということでからかわれる。そこへ通りかかったタオの従兄弟スパイダーがヤンキーたちを追い払い、タオに一緒に来るように言うがタオはそれを断る。その後スパイダーがタオの家に来て隣家の車を盗もうと持ちかける。

 神父がコワルスキーに懺悔を求めてやって来る。それは亡き妻からの願いだったが、彼はそれを拒否する。神父はバーにもやって来るが、彼は戦場での経験を話す。

 ある夜コワルスキーはガレージに人影がいるのを見つけ銃を持って行くが逃げられる。人影は隣家のタオだった。

 タオの家にまたスパイダーたちがやって来てもう一度盗みに入るよう連れ去ろうとするが、タオが抵抗し、タオの家族も含め騒動となる。一味がコワルスキーの家の庭に入ったので彼は銃を持って彼らを脅す。隣家の人からお礼を言われるが、彼は彼らにも芝生に入るなと話し去る。翌日コワルスキーの家の前に彼らからのお礼の品が多数置かれる。彼は隣人にもうお礼は良い、タオから車を盗もうとしたことの謝罪には、次は命はないと告げる。

 コワルスキーはタオの姉スーが街で黒人に絡まれているのを目撃し助け、送りがてら車の中でモン族の話を聞く。

 コワルスキーの息子夫婦が彼にホームへの入居を勧めに来るが追い返す。その後玄関先でビールを飲んでいる彼をスーが自宅のバーベキューに誘い彼は隣家へ。周りは好奇の目で彼を見る。疑問に思った彼はスーからモン族のしきたりを聞く。祈祷師が彼の心を読む。現状を言い当てられた彼は少し焦り、咳き込んだ際に少量の血を吐く。その後スーに連れられ若者たちが集う部屋に行く。タオが好きな女に何もできないのを見た彼はタオを叱咤する。

 タオたちがやって来て償いをしたいと申し出る。最初は断るが、結局受け入れる。彼はタオに向かいの家の修繕を命じる。

 タオの償いの最終日、コワルスキーのガレージで工具の説明をし、3つの道具を譲る。その際スパイダーたちとの関係も聞く。彼はタオと仲良くなり始め、色々と教え始め、職も紹介する。しかし働き始めたタオはスパイダーたちに捕まり工具を壊される。そのことを知ったコワルスキーはスパイダーの仲間に二度とタオに手を出すなと脅す。

 コワルスキーはタオたちとBBQをし、タオが好きな女の子をデートに誘ったのを知り、グラン・トリノを貸す約束をする。その夜、タオの家が銃撃される。彼はすぐに駆けつける。タオは軽傷だったが、その場にいなかったスーは乱暴されて帰って来た。

 コワルスキーは自分の行動が原因だと思い荒れ狂う。そこへ神父がやって来る。どうするのか聞かれた彼はわからないと答える。タオがやって来てすぐに復讐しに行こうと誘うが、彼はタオに冷静になれ、4時にもう一度来いと話す。

 彼は床屋で散髪をし髭を剃り、服を仕立てる。その後教会で懺悔をする。彼の家を訪ねて来たタオを地下室に閉じ込め彼は一人で復讐に出かける…

 

 途中までは頑固者の爺さんが近隣の人と友好を温め人として変わって行く話だったが、中盤過ぎに悲劇が訪れ、それに対して主人公がどう決着をつけるのか、という話に変わる。イーストウッドがやはりカッコいい。歳なんて関係なく男として人として人生の終わりをどうするのか、という覚悟が伝わって来る。

 アメリカに多くいそうな白人主義、多く出て来る差別語など普通なら嫌悪感を抱く表現も多いが、それも現実なのだろう。

 西部劇やアクション物などを多くこなして来たイーストウッドならではのラストと言えるかも。神父やタオと話す内容も重みがあって良かった。さすがだなぁ、イーストウッド