馬上の二人

●631 馬上の二人 1961

 ガスリーは平和な街で保安官をしていた。そこへ騎兵隊がやってきてジム中尉が理由を言わずガスリーにグランド砦へ一緒に行って欲しいと頼む。ガスリーはそれを受け入れる。砦への道中、ジムはガスリーになぜ引き受けてくれたのかと尋ねる。ガスリーは街の酒場の女主人ベルから求婚されたのでそこから逃れるために、と答える。

 二人は砦へ。そこには多くの開拓民がいて、彼らは二人を大歓迎する。隊長のフレーザーがガスリーにコマンチ族に触られた白人たちを救出して欲しいと依頼する。ガスリーはコマンチ族との取引をした経験があったためだ。開拓民たちはガスリーが自分たちの親族を取り戻してくれるために来てくれたと思っていた。ガスリーは断るが、軍からの給与と開拓民からの報酬が取ることで依頼を受け入れる。

 開拓民の一人、若い女性のマーティは弟をコマンチ族に攫われていた。その時自分だけが逃げ弟を見放したことを後悔していた。その話を聞いたジムは彼女に同情しガスリーにその話をしに行くが、彼は厳しい現実をマーティに話す。

 軍がコマンチ族と接触することは禁じられていた。そのためフレーザーはジムを脱走兵扱いとしガスリーとともにコマンチ族の元へ向かわせる。二人はコマンチ族に接触、ガスリーは武器と交換にさらって来た白人たちを返すように交渉する。二人はしばらくコマンチ族に囚われる。二人の世話役として現れたのは白人の老婆で、彼女の夫や子供は開拓民の中にいたが、彼女は白人の世界に戻れば酷い扱いを受けることを恐れ、一緒に帰ることを拒否、しかし他の白人たちの情報を話す。

 コマンチ族の酋長は武器と引き換えに、生き残っていた少年少女一人ずつを返すと約束するが、少女は二人と一緒に帰ることを拒否、少年ウルフも白人として育った頃の記憶はなく、コマンチの一人として育っていた。二人はもう一人、コマンチ族先頭組織のリーダー、ストーンカルフの妻エレーナを連れて帰ることに。

 ウルフとエレーナを連れて帰る途中、ガスリーとジムはストーンカルフが襲って来た場合のことで口論となり、ジムがウルフを連れて先に隊へ帰ることに。ガスリーとエレーナは野営をする。そこでガスリーはエレーナから囚われの身となった経緯を聞く。そこへストーンカルフがやって来たが、ガスリーが撃ちたおす。

 隊へ戻ったジムはウルフを皆に見せるが、コマンチ族に染まってしまった彼を見て誰も彼を引き取ろうとしなかった。しかし息子の帰りを長いこと待っていた開拓民の女性が彼を息子だと信じ引き取ることに。そこへガスリーがエレーナを連れて戻ってくる。エレーナも開拓民たちから差別的な目で見られてしまう。

 祝いのダンスパーティが開かれ、ジムはマーティを誘う。ガスリーもエレーナにパーティに参加するように話す。ジムはマーティにプロポーズをする。エレーナはパーティでも差別的扱いを受け、皆の前で自ら自分のことを話し出し、それを聞いたガスリーは彼女を差別した兵隊たちや開拓民たちを非難する。

 その時、ウルフの面倒を見ていた女性が殺される。開拓民の皆はウルフを吊るし首にしようとする。偶然マーティが持っていた弟のオルゴールを聴いたウルフは、それを自分のものだと叫ぶが、直後皆に吊るし首にされてしまう。

 ガスリー、ジム、エレーナが街へ戻ってくる。ガスリーの助手をしていた男が選挙で保安官に選ばれていた。しかもベルと結婚していた。ガスリーはエレーナをベルに紹介するが、ベルはエレーナをコマンチ族の女だと侮辱、それを聴いたエレーナはカルフォルニア行きの馬車に乗り込んでしまう。ガスリーはエレーナとともに馬車に乗り街から去って行く。

 

 以前観た「馬上の男」とタイトルが似ているが全く関係のない作品(笑 既にこのブログで西部劇は100本以上観ているが、先住民にさらわれた白人を取り戻す、というテーマはこの映画が初だと思う。

 どんな展開になるのかと思ったが、コマンチ族に会いに行った二人が聞かされたのは、さらわれた白人のほとんどが既に死んでいるか売られたかのどちらかということ。さらに候補に上がった少女は帰ることを拒否、少年はなんとか連れて戻るが、皆は彼を受け入れず、さらに受け入れてくれた女性を殺してしまう、という展開。おそらく実際にこのような事態は多くあっただろうと推測される。何年か前の北朝鮮から戻って来た人々のことを思い出した。

 本作ではもう一つ、主人公の一人ガスリーの恋の行方が木になるところだったが、冒頭で現れた女性はあっさり他の男性と一緒になっており、しかもガスリーが連れて帰ったエレーナを侮辱する始末。そりゃエレーナと一緒に旅立ってしまうよなぁという結末で、重いテーマだったが結末にはちょっとホッとさせられる。コメディリリーフの軍曹も出て来て、軽い感じのするシーンもあったが、さらわれた白人が帰って来た時の開拓民や騎兵隊の兵たちの態度は恐ろしさを感じてしまった。

 西部劇の大スター二人の共演でありながら、しっかりと重いテーマを描いた良作、と言える一本。