ドラゴンへの道

●632 ドラゴンへの道 1972

 タンロンがローマへやって来る。ローマのレストランが地元のマフィアに狙われており、嫌がらせを受けていたため、タンロンの従姉妹で店主のチェンが香港に住む弁護士に相談したが、その代わりにタンロンがやってきたのだった。

 チェンは田舎の青年であるタンロンを見て呆れるが、自分の家に住まわせることに。チェンはタンロンを店に連れて行く。そこでは従業員たちがマフィア対策として空手を練習していた。彼らはタンロンに実力を見せてくれと言うが、その時店に客が来て皆店に戻る。タンロンがトイレに入るとマフィアたちが店にやってきて、店を売るように話し出て行く。タンロンはトイレにいたため、チェンや従業員達から信用できないと思われてしまう。

 その夜、マフィアの手下たちが店にやってくる。彼らを店裏に連れ出すが従業員たちはやられてしまう。それを見たタンロンが手下たちを倒す。従業員たちはタンロンを見直し、クンフーを教えて欲しいと言い出す。チェンとともに家に帰ったタンロンだったが、家で手下が待ち構えていた。タンロンは彼も倒す。報告を受けたマフィアのボスは怒る。

 手下たちがまた店にやってきて、タンロンを差し出すように要求する。その頃タンロンはチェンとともに観光をしていたが、店に戻る。そして手下たちを倒し、マフィアのボスに店に手を出すなと警告する。チェンの伯父はマフィアを恐れ、タンロンを香港に返すようにチェンに話す。家に帰ったチェンはそのことをタンロンに告げるが、その時マフィアの手下がタンロンをライフルで狙撃しようとする。それに気づいたタンロンはその手下を撃退するが、家を空けた留守にチェンがさらわれてしまう。

 マフィアのボスはチェンに店を売る証書にサインするように脅すが、チェンは聞き入れなかった。そこへタンロンが仲間たちとともにやってきて、彼らを撃退する。怒るボスに対し、手下のホーが知り合いの外国人を連れてくると話す。そして新年の祝いをしていたチェンの店にホーが現れ、ボスが話をしたいと言っていると誘う。

 ホーの車で連れてこられたタンロンやチェンの伯父、従業員たちは、ホーた連れてきた武闘家たちに待ち伏せを受ける。彼らを倒したタンロンはその場を彼らに任せ、最大の敵コルトを探しに行くが、その間にチェンの伯父は従業員を殺してしまう。彼は店を売り渡し金を持って香港にいる家族の元へ帰るつもりだった。

 コロッセオでコルトと敵対したタンロンは彼と一対一の勝負をする。そして彼を倒し、皆の待つ場所へ戻る。ホーとチェンの伯父がいたが、伯父は一芝居打つ。そこへボスがやってきてホーや伯父を射殺、しかし警察がやってきてボスを逮捕する。

 タンロンはチェンに別れを告げ去っていく。

 

 先週観た「怒りの鉄拳」に続くブルースリー。本人が監督主演脚本を担当。そのためか、ブルースリーの魅力全開である。格闘シーンはもちろん、コミカルなシーンも多い。

 冒頭の空港での白人おばさんに睨まれるシーンから子供を脅すシーン、続くレストランで文字が読めないリーがスープだけを5つも注文し飲むシーンはさすがに笑った。その後も、ローマに着いたリーがチェンの言葉通りに行動し、娼婦と思われる女性の家まで付いていってしまうのも可笑しい。

 助っ人として呼ばれたのに、冒頭でマフィアの手下たちが襲ってきたときにトイレにいたため、皆からの信用をなくすというのは、この手の映画での定番だが、その後の活躍が凄まじいため、そのギャップが面白い。

 ただストーリーとしては、店とマフィアの戦いが何度も繰り返されたり、拳銃を持つマフィアなのに最終的に武術対決になる理由がよくわからなかったり、と現代で考えれば精度の低い脚本と言わざるを得ないが、リーが脚本を担当しているので、仕方ないのだろう。

 それでもリーの格闘シーンはどの場面もあまりにカッコ良い。彼の体もこれまで観た作品の中で一番仕上がっているように見える。最後のチャックノリスとの戦いで序盤何度か倒されるリーも珍しい場面かも。途中から攻勢に出る場面でかかるBGMもカッコ良かった。やっぱり自分にとっては永遠のヒーローだな。