鉄道員

●122 鉄道員 1956

 クリスマスの日、サンドロは父親アンドレアを迎えに駅まで行く。アンドレアは特急の運転手だった。帰り道、アンドレアはリベラーニとともに酒場に寄る。一人で家に帰るサンドロだったが、家にはサンドロの姉ジュリアが夫レナートともに来ていた。ジュリアは妊娠していたが、調子が悪く、アンドレアの妻サラはサンドロにアンドレアに早く家に帰るよう迎えに行かせる。サンドロは酒場に行くが、アンドレアは歌を歌い、結局閉店まで居座る。家に二人が戻ると誰もおらず、ジュリアの家にいるとの書き置きがあった。アンドレアに手紙を見せるが、彼はそのまま寝てしまう。サンドロは一人ジュリアの家に行くが、医者が来ており家の中は静かだった。

 サンドロは父と姉が仲が悪いことを知っていた。姉はレナートと付き合っていることを父に内緒にしたまま妊娠をしてしまっていた。結局二人は結婚することになった。

 ジュリアは流産をしてしまう。レナートは子供のために結婚したのに、という言葉をジュリアに話してしまう。

 サンドロの兄マルチェロは仕事につかず、怪しい話ばかりしていた。

 アンドレアはあの日お酒を飲みに酒場に酔ったことを後悔していた。彼はリベラーニとともに特急を運転中に人をはねてしまう。見通しの悪い箇所であり、自殺と思われるものだった。アンドレアはショックを受けるが、乗務員は事故後もそのまま運転するように命令する。運転を継続したが、今度は赤信号を見落としてしまい、危うく追突事故を起こすところだった。

 サラはジュリアとレナートの店に買い物に出かける。帰ろうとするサラをレナートは呼び止め、二人の仲はもうダメだと話す。ショックを受けたサラは家に帰るが、そこに明日帰宅予定のアンドレアが帰って来ていた。彼は事故を起こしたことを妻に話す。夜、サラはジュリアに電話をし、レナートとのことを考え直すように話す。

 アンドレアの会社では、労働組合の集会が行われていた。ストを決行するかどうかの話し合いだったが、アンドレアは勤務時間のことも議題として欲しいと訴える。しかし事故を起こした彼に周囲は冷たかった。

 アンドレアは本部に呼ばれ、医師による検査を受ける。結果、彼は飲酒運転のために事故を起こしたと判断される。彼は酒場で愚痴理、組合に対しても毒づく。彼は特急電車の運転手からボロ機関車の運転手へと異動させられる。新しい相棒にストについて聞かれるが、彼は自分には関係のないことだと話す。

 ジュリアはレナートと仲良く暮らしていた。サンドロが店に遊びに来て、彼にアイスを買うために二人は出かけるが、その途中、ジュリアは昔の男と出会う。サンドロは口止めをされる。

 アンドレアは新しい職での給料をもらうが、以前に比べだいぶ下がっていた。組合費の徴収にあうが、それを拒否する。家に戻ると、マルチェロがいた。彼に客が来るが、明らかに怪しい客だった。マルチェロは母親の宝石を盗もうとしているところを見つかる。母親は黙って宝石を与える。

 サンドロは友達とパチンコ遊びをしている時に、姉が例の男と車に一緒に乗っているのを目撃する。彼は姉から逃げるが、家に帰る途中で、男の車を発見し、パチンコで後部のガラスを割る。ジュリアは家に戻り、母親に全てを打ち明ける。アンドレアは警察に呼ばれ、サンドロが車のガラスを割ったが理由を説明しないで困っていると言われる。二人は解放され家に帰る。父はサンドロに理由を聞く。サンドロは姉と一緒に乗っていた悪い男の車だからだと説明する。怒った父は家に戻る。そこにジュリアがおり父は怒るが、ジュリアもこれまでの思いを爆発させる。それでも父はジュリアに手を上げようとし、サラが止めに入るが、そこへマルチェロが来て父を止める。アンドレアはジュリアとマルチェロに家から出て行けと叫ぶ。

 アンドレアの会社はストを決行する。しかしアンドレアはストを破り、特急電車を運転する。家の周りに「マルコッチはスト破りだ」と落書きが書かれる。アンドレアは仕事に行かなくなり、家にも戻らないようになる。サンドロは父を探すが見つからない。サンドロを見かけたリベラーニが一緒に探してくれる。ある店で父が女と一緒にいるのを目撃する。

 ある日街中でレナートがサンドロに声をかけて来る。彼はジュリアの冬服を彼女に渡して欲しいと頼み、彼女が働く工場へ一緒に行く。サンドロは姉に服を渡し事実を話す。

 サンドロは学校で進級する。それを伝えに父のいる店へ行く。父は昔馴染みの酒場へ行くと話し、二人は酒場へ向かう。店の主人も客たちも暖かく彼を迎える。アンドレアは皆と楽しく歌を歌い酒を飲むが、その場で倒れてしまう。

 クリスマスの日、レナートはジュリアの工場へ出向き、彼女と話をする。家では、今日は調子が良いと話し、アンドレアが起きて来て、クリスマスのお祝いをし始める。そこへリベラーニが訪ねて来て、マルチェロも一緒だと話す。さらに大勢の客が彼の家に押しかけて来て盛大な宴が始まる。皆が楽しくやっている時、電話がなる。サラとアンドレアが出るとジュリアからで、これからミサに出た後、レナートと家に行くと話す。

 宴が終わり、客が帰って行く。夫婦は二人で会話をし、アンドレアはさらにセレナーデを弾き始める。しかし、その途中でアンドレアは息を引き取ってしまう…

 

 名作と言われる作品だが初見。鉄道の関係した話だと思っていたが、見事に家族の再生の話。幼いサンドロを語り部にして、ちょっと重くなりそうな話を見事に描いている。ラスト父親が亡くなってしまう終わり方も淀川さん言う所の映画の方程式なのかと思う。

 個人的にはアンドレアのスト破りに関する部分が新鮮だった。当時はスト破りなんてそれこそ掟破りだったんだろうが、ストーリー的には納得できると感じた。

 古い映画だが、家族それぞれ、それからリベラーニのキャラがしっかりとしていて十分楽しめる映画だと思う。