死刑台のエレベーター

●125 死刑台のエレベーター 1957

 ジュリアン・タベルニエはカララ社長夫人フロランスと不倫しており、社長殺害を企む。夫人と電話をし、これから殺害を決行、19時30分に待ち合わせと話をする。タベルニエはロープを使い窓つたいで社長室へ入り、殺害を決行する。自殺に見せかける工作も行う。

 会社を車で出たタベルニエは窓枠にロープを残したままであることに気づき、会社へ戻る。警備員は全員が退社したことを確認し、建物の電源を落とす。その時エレベータに乗っていたタベルニエはエレベータの中に取り残されてしまう。

 タベルニエが車を止めるのを見ていた、会社の向かいの花屋の店員ベロニクの恋人ルイはタベルニエの車に勝手に乗り込み運転をする。ベロニクも車に同乗する。

 フロランスは待ち合わせ場所のカフェでタベルニエの車を目撃、助手席に花屋の娘が乗っているのも目撃する。フロランスはタベルニエが心変わりしたのではと疑う。

 ルイとベロニクは車の中にあったタベルニエのコートから小型カメラなどを見つける。

 タベルニエはエレベータの中からの脱出を試みるがうまくいかない。

 フロランスは店で待つのをやめ、街を歩き、タベルニエを探す。

 ルイとベロニクは高速道路を3往復し、そろそろ帰ろうとしていたが、一台のドイツ車に煽られ、ムキになる。ドイツ車がモーテルで停止した際に車をぶつけてしまう。ドイツ車から降りてきたドイツ人ベンカー夫妻と共に、モーテルに泊まることにし、夕飯をご馳走になる。ただしルイとベロニクはタベルニエ夫妻と偽名を名乗る。夕飯後の会話時にベロニクはベンカー夫人に小型カメラを見せると、夫人は男たちの写真を撮るのだった。

 エレベータの中のタベルニエはタバコを吸い尽くす。床に落ちていたタバコの吸い殻を片付けようとして、床の布を外すと、脱出用の扉があることに気づく。扉を外し、エレベータ用のロープに伝わり下へ降りようとするが、その際見回りの警備員が来て、鍵を落とす。鍵を探すために一時的に建物の電源を投入する。エレベータが動き出し、タベルニエは危険な状態になるが、間一髪警備員はまた電源を遮断したため、彼は助かる。

 フロランスは深夜営業している酒場に入る。そこでタベルニエの友人を名乗る男と出会う。

 ルイは深夜に起き出し、ベロニクを起こす。彼はベンカー夫妻の車を盗むつもりだった。しかし現場をベンカー夫妻に見つかり、銃で撃ってしまう。彼らは夫妻の車に乗り逃げ出す。二人はベロニクの家に戻る。死刑を恐れた二人は薬を飲んで死ぬ決意をする。

 フロランスは深夜盛り場にいたことで警察に捕まり、署に連行される。社長夫人であることがわかり、すぐに解放されるが、シェリエ警部が寄って来て、タベルニエの名前を出す。彼にはドイツ人夫婦殺害の容疑がかかっていた。

 モーテルで警察の捜査が行われていた。タベルニエが容疑者としてマスコミにも発表される。警察はタベルニエを捜査、会社にも警察が来る。警備員が電源を投入し、エレベータが動き出す。タベルニエは隙を見て会社から逃げ出す。警備員は社長室で社長の死体を発見、警察に知らせる。

 会社から出たタベルニエは店で食事をするが、従業員は警察に通報する。彼は隣の男が読んでいた新聞に自分の写真が載っていることに気づく。彼は逮捕される。

 彼は19時半に会社を出た後、酒を飲み歩いていたと証言し、モーテルでの殺人を断固認めなかった。執拗な取り調べが続き、彼はエレベータにいたことを話すが、警察は信用しなかった。

 フロランスはタベルニエが逮捕されたことを知り、花屋を訪ね、ベロニクの住所を聞き、家を訪ねる。そこでベッドで寝ているベロニクを見つける。ルイもおり、フロランスは薬も見つけ、二人がやったことを知る。フロランスは出て行くが、ルイは彼女の持って来た新聞で疑われているのが、タベルニエだと知り、助かったと思う。しかしベロニクがモーテルで見られていたことに気づき、その話をすると、ベロニクはドイツ人を撮影した写真がある、と言ってその引換券を渡す。その写真にはドイツ人とルイ、ベロニクが写っており、マズイと気づいたルイは写真を取りに行く。フロランスは警察に匿名の電話をし、ベロニクの家を通報する。ルイがバイクで出かけるのを見たフロランスは車であとを追う。

 モーテルの写真屋でルイは引換証を出すが、そこではドイツ人と写った自分の写真が現像されており、警部も待ち構えていた。そこへフロランスも現れるが、警部は他の写真を見せる。そこにはタベルニエとフロランスが二人で写った写真があった…

 

 有名な作品だが、初見。そして驚いた。ただ単にエレベータに閉じ込められる話だと思っていたら、見事に倒叙型の推理小説になっている。しかも、自分が起こした殺人ではない犯罪の容疑者になるという手の込んだ作りになっていて。えっこれこの先どうするのよ、って感じで引き込まれた。

 ジャンヌモローは綺麗だし、マイルスデイビスの音楽はカッコ良いし。いやぁ名作と言われる作品はやっぱり違うねぇ。