蝉しぐれ

●128 蝉しぐれ 2005

 牧文四郎が主人公。隣家には幼馴染ふくがいて、道場には逸平や与之助という仲間がいた。父助左衛門は身分が低いが、川の氾濫時には堤防を開く場所について上役が決めた場所に意見し変更させ、村の田を守るなど義のある男だった。

 ある日、助左衛門が藩のお世継ぎに関わる事件で切腹をすることになる。父の遺体を引き取りに行った文四郎は世間から反逆者の子供という白い目で見られるが、遺体を戸板にのせ運ぶのを手伝ったのはふくだった。

 しばらくして、ふくが江戸に上がることになり、文四郎に別れを告げにくるが、二人は会えなかった。

 時が経ち、牧家は元の家禄に戻され、文四郎も役目を与えられる。それを文四郎に伝えたのは、父に切腹をさせた里内左内だった。元の家に戻った文四郎はふくが殿の妾になったことを知る。

 文四郎に家に江戸に行っていた与之助と逸平が訪れる。三人は再会を祝い酒を飲むが、その場で文四郎は与之助からふくが殿の子を身ごもるが流産したことを聞く。それは里内派の仕業らしいという噂も。

 しばらく後、今度は与之助からまた身ごもったふくが藩内に戻ってきていることを聞く。それから1年後、またも里内に呼び出された文四郎は、ふくが産んだ子供をさらってくるように命じられる。文四郎は逸平と与之助にその話をし、命令に逆らえないが、子供を反里内派である横山家老の家に連れて行く計画を立て、ふくの元へ行き事情を説明する。しかしその場へ里内派の侍たちが現れる。文四郎は逸平と共に立ち向かう。最後に因縁の相手犬飼も現れるが、かつて師匠に教えてもらった心の眼で相手を倒す。

 ふくと子供と共に船で里内派の網を無事突破した文四郎は、里内の屋敷に行き、里内を叱責する。

 さらに年月が過ぎ、ふくは文四郎に手紙を出す…

 

 原作本も持っているし、NHKのドラマも見ているし。ただこの映画は初見。

 うーん、忘れていた部分もあるが、大体のストーリーを知っている人間から言わせると、どの部分をチョイスするかを間違えたように思える。文四郎とふくの子役時代はとてもよく感じられたが、そこを引っ張り過ぎた?からか、大人になってからの時間が足りず(特にふくの大人は最後の30分ほど)、ラストでの感情移入ができなかった。

 ふくの屋敷での大立廻りも刀を何本も準備するなど、リアルさを出したつもりなんだろうが、一番の敵役を出すタイミングがおかしいし、その斬り合いもあっさりし過ぎ。

 うーん、もっと良い話なんだけどなぁ。切なさがあまり感じられなかった。

 でも子役時代のふくを演じる佐津川愛美を見れたのは大ラッキー。彼女は山本周五郎時代劇であだこを演じた大好きな女優さん。あだこの10年も前に映画に出ていたのね。