椿三十郎

●166 椿三十郎 1962

 古い社で若侍9人が密談をしていた。一人が意見書をお上に出したいのだが、城代家老には断られ、大目付に意見を聞いてもらえたと話すと皆喜ぶ。しかしその社の中を寝ぐらにしていた浪人が現れ、彼らの話を否定する。怒る若者たちだったが、社の周りを大目付の配下の者が取り囲んでいるのに気づく。浪人の芝居で何とか難を逃れる。

 社で話を続けるうちに城代家老が危険だと気づき、家に忍び込む。家は既に大目付たちに押さえられていた。逃げ延びた女中の話で、城代家老は既にどこかに連れ去られ、その妻と娘がいることがわかる。見張りの隙をついて妻と娘を助け出す。そして若者の一人の家に行く。そこは隣が今回の黒幕次席家老の家だった。その家で名前を聞かれた浪人は椿三十郎と名乗る。

 次席家老たちは城代家老の妻と娘をさらったのは、自分たちへの反対勢力であり大人数だと勘違いしていた。また城代家老に偽の告白書を書かせるためにも人質となる妻と娘を奪還したいと考えていた。椿たちは城代家老を探していた。城代家老を助け出せば次席家老たちの悪事が暴けるからだった。次席家老たちは空の籠を使って、椿たちをおびき寄せる作戦を取る。若者たちは椿の反対を押し切り、籠につられ罠に落ちるところだったが、寸前で気がつく。

 打つ手がなくなった椿は自ら大目付の家来である室戸に自分を売り込みに行き様子を探ろうとする。若者たちの中には椿が裏切るのではと疑う者がおり、あとをつけることに。室戸があとをつける人間がいることに気づき、若者たちは捕まってしまう。若者たちを助けるため椿は一芝居を打ち、大勢を斬り捨てる。

 家の庭の川で血判状の紙切れを見つける。川は隣の家から流れてきていた。それを

見た若者たちは城代家老が隣の家にいることを確信する。しかし隣には大目付の配下の者が多数いて踏み込めない。椿は寺で反対勢力を見たと嘘を教え、隣の配下の者たちを移動させようとする。その作戦は成功するが、椿の行動を不審に思っていた室戸に気付かれ捕まってしまう。また椿が話した寺の様子が嘘であることに気づき、室戸は寺に向かう。しかし椿の機転で若者たちに合図することができ、彼らは椿を助けに来て、城代家老も助け出す。戻ってきた室戸はもはやこれまで、と観念する。

 城代家老の家での場で、椿が屋敷を去ったことを知った若者たちは椿を探す。見つけた場所には、椿と室戸がいた。二人は決着をつけるため、決闘をする。

 

 「用心棒」に続いて鑑賞。敵対する勢力の片側について三十郎が活躍する話となっており、そこは用心棒と同じ構図。危ない状況を乗り切り、作戦が上手くいったところで相手側に三十郎が捕まりピンチを迎えるのも同じかな。しかし椿の花を連絡の手段とするのは、なかなか。しかも三十郎の機転でたくさんの花が流れて行くのは圧巻。有名なラストの斬り合いは何度見てもスゴイ。これで時代劇の作りが変わったと言われるのも頷ける。

 しかし若侍の中に、加山雄三田中邦衛がいるのはびっくり。既に若大将シリーズが始まっているのに。ビックリと言えば、小林桂樹のひょうきんな役も驚いた。社長シリーズを思わせるおとぼけぶりが笑える。