ミリオンダラー・ベイビー

●181 ミリオンダラー・ベイビー 2004

 昔ボクサーだったスクラップとともにボクシングジムを経営するフランキー。彼らのジムにマギーという女性が現れ、フランキーにトレーナーになって欲しいと熱望するが、彼は断る。それでもマギーはジムで練習を重ねる。

 ある時フランキーがトレーバーをしていたウィリーがフランキーとのコンビを解消し他のマネージャーと組んでタイトル戦を行うことになる。スクラップはフランキーの育て方が過保護だと主張する。フランキーはスクラップのボクサーとしての最後の試合に立ち会っており、試合を止めなかったことを後悔していたのだった。

 ウィリーがジムを去った後、フランキーはマギーのトレーナーになることに。彼の忠告を聞き、マギーは選手としての力をつけて行く。試合を望むマギーにフランキーはマネージャーを紹介する。マギーは試合に臨むが、観戦していたフランキーはマネージャーの意向を無視しマギーにアドバイスを送る。マネージャーは怒り、マギーの元を去る。フランキーがマギーのマネージャーとなり、デビュー戦を白星で飾る。その後もマギーは連戦連勝、クラスを上げていっても同じだった。対戦相手がいなくなり、階級を上げることに。そこでも彼女は連勝を続ける。タイトル戦の話が持ち上がるが、フランキーは慎重だった。

 スクラップがマギーにチャンピオンになりたいならフランキーと組むのはやめろと忠告し、ウィリーのマネージャーになったサリーを紹介する。しかしマギーは彼と組むことを拒否する。フランキーはイギリスでの試合を受ける。そこでも勝ったマギーはヨーロッパで連戦、連勝する。

 貧しく育ったマギーはファイトマネーで母親と妹のために家を買う。しかし母は家ではなく金が欲しいと話し、マギーを落胆させる。

 そしていよいよタイトルマッチに臨むことに。相手は反則も厭わない危険な相手だった。マギーが優勢で試合が進むが、ラウンド終了後に相手がマギーにパンチを打ち、マギーは椅子で頭を打ってしまう。それが元でマギーは全身不随となる。

 病院で治療を受けるが、回復の見込みはないと診断される。マギーの家族が訪れるが、彼女に書類にサインをさせようとする。マギーはサインを拒み、家族を病室から追い出す。

 マギーの足は壊死し始め、足を切断することになる。マギーはフランキーに死なせて欲しいと頼む。フランキーは断るが、最後には彼女の安楽死の手助けをし、去って行く。

 

 前半は主人公マギーが31歳だったこともあり、女性版ロッキーか、と思わせるような内容だったが、ラスト45分は一気に話が急展開し、別の世界を見せる。安楽死尊厳死については様々な意見があるが、この映画のストーリーではマギーがその選択をするのは仕方ないと思えた。それをイーストウッドが支持しているのかどうかは知らないが。

 確か「グラン・トリノ」の中でも、神父との会話が意味を持つシーンだったと思うが、今回の作品も同じ。冒頭から神父とフランキーの会話が挿入されるが、最後に来て重い意味を持つことになる。この映画の尊厳死自体がアメリカで論争となったとあるが、彼はやはり宗教そのものに対する何かを持っているんだろうなぁ。

 しかし主演のヒラリー・スワンクの演技には驚かされた。ダメな感じのボクサーが一流になっていく様もすごかったが、ラストの全身不随になった後の演技もそのものズバリに見えたのは凄い。調べたら、アカデミー賞を2回も受賞してる女優さんなのね。そりゃそうだよなぁ。