女子大生つぐみと古事記の謎 鯨統一郎

●女子大生つぐみと古事記の謎 鯨統一郎

 鯨さんの新しいシリーズ。「鯨統一郎」「古事記」の組み合わせなので、迷わず読むことに。古事記については、主人公つぐみではないが、前から興味があって、昨年解説本を何冊か読んでいるので、期待大。

 しかし本の中で扱われる古事記は、神武天皇の東征と草薙剣のことのみ。鯨さんと言えば「邪馬台国はどこですか?」があるので、そんな展開を期待していたが、話は宗教団体になぜか命を狙われるつぐみの冒険譚となっていて、神武天皇の東征と草薙剣についての新しい見解は最後の最後に明かされるのみ。ちょっと期待はずれ。もちろん二つのことに関する新しい見解そのものは、なかなか面白かったけれど。

 冒険譚の方は巨大組織に追われながら、命を狙われる理由に関係していそうな草薙剣に関する謎を追いかける、というまるで高橋克彦の小説のような感じだった。ただ鯨さん特有の超ご都合主義であるのは免れない(笑 まぁ軽く読めるのもウリなので仕方ないでしょう。