白い巨塔

●667 白い巨塔 1966

 浪速大学医学部の財前助教授は癌手術の第一人者として活躍していた。彼は貧しい家で育ち財前医院の娘に婿入りした経緯を持っており、教授になる野望を抱いていた。しかし彼の上司であり原教授の東は財前を嫌っており、自分の後任に財前を押すことなく東都大学船尾教授に自分の後任にふさわしいに人物を探すように依頼、金沢大菊川が候補となる。その結果、東の後任を決める教授選を目前に控え、財前、東の押す菊川、整形外科野坂教授が押す葛西の3人が有力候補となる。

 財前は内科の里見助教授から佐々木という老人患者について相談を受ける。財前は佐々木が癌であると診断、手術を行うことに。しかし里見は肺にも影があるため、手術前に断層写真を撮るように主張するが、財前は拒否し手術をする。術後佐々木の容態が悪化、財前が診ることなく死亡してしまう。

 教授選が始まる。有力候補だった3人の決選投票となるが、財前が義父の助けも借り票工作をする一方、東も同じように票工作を行う。結果、2票差で財前が選挙で勝つ。めでたく教授となった財前だったが、佐々木の遺族が誤診があったと裁判を起こす。裁判でも検察側、被告側がそれぞれ有利な証言者を出し争うが、最終的に東都大学船穂教授が医学界の為にと財前に有利な証言を行い、財前は裁判に勝利する。財前に不利な証言をした里見は左遷され、財前は教授として大回診を行なっていた。

 

 有名な作品で映画化は一度だけだが、ドラマ化は何度もされている作品。しかし映画もドラマも見たことがなく今回が初見。

 医者としてのスキルは高いが人間性に問題がある主人公とそれを嫌う上司。この二人の対立を軸とした教授選の裏で行われる票工作。そして傲慢な態度が原因となった思われる患者の死を扱った裁判。

 まさにドラマにもってこいのテーマばかり。さらに役者陣がスゴすぎる。票工作で財前のために金だを連発する義父、東のために動くとらやのおいちゃん(笑 第3極を作りうまいところだけ持って行こうとする金田一の等々力警部こと加藤武浪速大学の医学部の教授たち、職員たちも見知った顔ばかり。財前の愛人、東の娘といった女性陣。その中でも主人公の田宮二郎の表情は圧巻。クイズ番組の司会だったイメージしかなかたが、スゴい役者さんだったんだなぁ。約60年前の作品だが、その後も様々な作品で活躍した人ばかり。これはドラマ化したくなるよなぁ。

 

 人間の欲望もテーマだが、裁判にされた医師の誤診も現代では大きなテーマだろう。医学の限界があるのもわかるが、遺族としたら納得できないこともある。原作はこの後も続いており、それがドラマ化されたらしい。いつか観る機会があればドラマの方も観てみたいと思わせた作品。