J・エドガー

●782 J・エドガー 2011

 FBI初代長官フーバーはキング牧師の家の盗聴を命じる。同時に自らの半生を記録させるために口述を始める。

 1919年、フーバーが司法省に入ったばかりの時、パーマー司法長官の家が爆破テロを受ける。共産主義者による同時テロは全てで8件も行われた。フーバーも現場に駆けつけるが警察の捜査はずさんであり、フーバーは自ら犯人によるものと思われるビラを回収する。

 テロ事件を受け司法省では特別捜査チームを結成、フーバーは責任者となる。彼は捜査のために過激派とされる人物たちのデータや全国の犯罪者の指紋などを集め始める。フーバーは新人秘書のヘレンと出会い結婚を申し込もうとするが、仕事に生きたいという彼女にフラれてしまう。フーバーは彼女を秘書とすることに。

 フーバーは過激派たちのアジトを襲撃、次々と逮捕する。新しい司法長官から彼は局長代行に任じられる。彼は捜査には科学的根拠が必要だと感じていた。

 1932年、リンドバーグの息子誘拐事件が発生。身代金の紙幣を記録するなど捜査を進める一方で、捜査局の権限を広げるため法律の成立を促すなどフーバーは暗躍する。リンドバーグの息子は遺体で発見されるが、フーバーたちの努力が実り犯人を逮捕することに成功、捜査局は全米の注目の的となる。フーバーはさらに権限を強くするため、要人たちのスキャンダルの情報なども集め極秘ファイルとする。

 フーバーはトルソンを採用、さらに彼を副長官とすることに。恋人や友人などを作らないフーバーにとって、トルソンは母親以外で唯一信用できる人物だった。

 晩年、フーバーの権威も落ち込み始める。彼はキング牧師ノーベル賞受賞を妨害するために彼に脅迫状を送るが、キング牧師ノーベル賞を受賞する。一方アメリカ大統領にニクソンがなり、フーバーは彼の情報も極秘ファイルとして持っていたが、万が一に備え極秘ファイルをヘレンに託すことに。

 トルソンと食事をしたフーバーは彼から、フーバーの半生を記録した文章には誇張や嘘が混じっていることを指摘される。フーバーはそれを認め、その夜亡くなってしまう。ニクソンは部下に命じ極秘ファイルを探させるが、彼が大切にした極秘ファイルはヘレンにより処理され誰にも知らされることはなかった。

 

 

 FBI初代長官フーバーの半生記。正直名前ぐらいしか知らない人のため、いくつか描かれるエピソードも、あぁそうだったんだ、と思うぐらい。

 FBIの前身となる組織で科学捜査の必要性をいち早く理解しチームを組んだり、指紋などのデータベースを作ったり、とその功績は計り知れないが、やはり権力を持った人間が皆陥るように、権力を維持するために違法なことをしてしまう、という面もあった人物。

 この手の映画を観るといつも書くことだが、一時的に英雄視された人物でもその裏の面が明らかになった人物に対し、ハリウッドはそこを正直に描くのがスゴい。まして本作はイーストウッド監督作品。さすがですなぁ、イーストウッド