十三人の刺客

●088 十三人の刺客 1963

 老中土井(丹波哲郎)の門前で明石藩家老が訴状を持って自害した。訴状の中身は明石藩藩主松平斉韶(菅貫太郎)の暴君ぶりを訴えるものだった。土井は幕府としての処罰ではなく、暗殺を企てる。その役割を担った島田新左衛門(片岡千恵蔵)は仲間を集め、暗殺をすることとなった。

 松平が参勤交代で江戸を離れるタイミングで暗殺を狙う。島田たちは川を渡る際に手薄になるところを狙うが、尾張藩は影武者の籠を用意していたため、襲撃を諦める。

 斉韶に恨みのある尾張藩家老に協力を求め、行列を迂回させつつ、落合宿で討つことを計画する。島田たちは落合宿に様々な仕掛けを作り始める。そして11月17日いよいよ斉韶一行が落合宿に現れる…

 

 松平斉韶の残虐性を語るエピソード、仲間を作って行くエピソード、暴君を持った明石藩側の人間鬼頭半兵衛の葛藤、など脚本がさすが。当時の大スターが多く見せ場も冴えている。橋の上で尾張藩への搬入を食い止める際の家老牧野(月形龍之介)のカッコいいこと。悪役の斉韶役の菅貫太郎さんも名前は知らなかったが、時代劇ドラマで嫌という程悪いお殿様で見て来た人でちょっとびっくり。

 ラストの長い殺陣はちょっと冗長な気もするが、天下泰平の時代という背景があり斬り合いが稀であったことを示すには仕方ないかも。なんだかカッコいい斬り合いではないところが逆に良い感じになっている。

 しかしみなさん若い。というか片岡千恵蔵やアラカンの映画は初めて見たかも。