鬼平犯科帳 第4シリーズ #10 密偵

 第4シリーズ #10 密偵(いぬ)

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 青坊主の弥市は盗賊改方の調べを受けていたが、中々白状しなかった。鬼平は竹釘の拷問を指示し、荒金の仙右衛門の盗人宿を聞き出し、踏み込む。しかし一人縄ぬけの源七を取り逃がす。

 三年後、弥市は飯屋を営み、妻も子もある生活を送っていた。ある日店の外で昔の盗人仲間乙坂の庄五郎に声を掛けられ話をし源七が江戸に舞い戻っていると聞く。弥市は源七の居所を聞くが答えない。その代わり弥市のことも誰にも喋らないと話し去っていく。店に戻った弥市は寝込んでしまい、医者に見てもらう。弥市は妻の心配をよそに出かける。

 佐嶋の所に瓢箪やからの使いが来て火急の知らせがあるとのこと。そこには弥市がおり源七のことを話す。心配する弥市に佐嶋は言葉をかける。元気を取り戻した弥市は店に帰る。しかし店の外に庄五郎がおり手紙を渡される。翌日の舟宿への呼び出しだった。話は仕事、錠前外しの依頼だった。弥市は断るが、源七の名を出され脅される。さらに仕事を手伝ってくれれば源七の居場所を教えると話される。しかし舟宿の船頭が源七だった。

 店に戻る途中、弥市は忠吾に会いに行くが何も言わずに離れてしまう。店に戻った弥市を仲人が訪ねて来て、心配事があるなら話せ、女がいるんだろと言われ、弥市は笑い出す。そして夜妻と話す。忠吾は弥市と話したことを鬼平たちへ報告する。鬼平は佐嶋に弥市ともう一度話すように言う。

 弥市は庄五郎の盗人宿を訪ねる。そこで鍵作りを始める。そこで仕事をしながら庄五郎に盗み先を聞く。鍵はその日に渡すと言い残し盗人宿を去る。店に戻る弥市の前に佐嶋が現れる。佐嶋はどこへ行っていたか尋ねるが弥市は答えなかった。家に戻った弥市は盗賊改方の見張りがないことを確認する。

 弥市は盗み当日出かけるが、鬼平たちはしっかりと見張っていた。弥市は庄五郎と会い源七の居所を聞くが、源七はその場にいた。鍵を渡すと現れた源七に弥市は刺される。盗賊改方も手数が揃い、宿へ押し入る。弥市を見つけた鬼平と佐嶋、鬼平は弥市の妻にどう伝えるかを佐嶋に託す。

 

 これまた時々あるレギュラーではない密偵話。今回は特に捕まった状態から密偵となった展開を見せる珍しいパターンか。弥市が拷問にかけられるシーンから、平和な生活を送るシーンへと移るため、その平穏な生活が際立つ。そして昔の仲間と出会い悪い方向へ。弥市の最期が壮絶なだけに、盗賊改方の押し入った後の殺陣も力強く感じる。

 余談だが、最後の殺陣の際、鬼平と佐嶋がいつもの盗賊改方の正装ではなく通常の着物姿なのが新鮮。しかし密偵を失った(まだわかっていないか)感情をあらわにした殺陣は迫力があった。

 今回も久栄は登場シーンなし。第4シリーズ最初で感じたのは勘違いだったようだ。