鬼平犯科帳 第4シリーズ #12 埋蔵金千両

 第4シリーズ #12 埋蔵金千両

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 太田万右衛門は下女として雇い入れた下女おていに手をつけてしまった。おていの親元にも挨拶に行き50両を渡す。だがその1年が過ぎ万右衛門は重い病となる。万右衛門は床におていを呼び告白をする。5年前まで黄金の万五郎という大泥棒であるところに千両弱が隠してある、場所を書いた地図を見せ、信州上田の加納屋利兵衛を連れて来て欲しい、利平は自分の息子の行方を知っている、息子に金をあげたいと話す。

 おていは二日後信州へ向かう。

 鬼平は風邪を引く。診察した医者が太田万右衛門の話をする。別の医者宗仙を紹介したところ、宗仙は50両で治すと言い万右衛門もそれをお願いした、そして万右衛門は回復し食欲も戻り、さらに体が元の状態になればもう50両を払うと言った、と話す。鬼平は浪人が100両も払うと言ったことに驚く。

 回復した万右衛門は埋蔵金の話をしたことを悔やむ。加納屋利兵衛は須川の利吉といい、5年前万右衛門の子分だった。二人は盗賊仲間を分け前金惜しさに殺していた。

 おていは農民の姿で関所を越え、野宿をして旅を続けていた。

 万右衛門は利吉より先に埋蔵金を掘り出すために旅立つ。それを盗賊改方がつける。その報告を聞いた鬼平は佐嶋に出張るよう命じる。万右衛門は飯屋で部屋を借りて休むが、おていが利吉に殺される夢を見てまた旅立つ。佐嶋と沢田があとをつけるが、途中万右衛門は馬子を殺し一人で先に行く。万右衛門は山中で馬を降りる。穴倉で金がないことに気づいた万右衛門はそのまま死んでしまう。その報告を聞いた鬼平は一緒にいた下女が事情を知っているのではと考え、女の身元を調べさせる。同心たちがおていの親元に行く。そこにおていがいた。

 佐嶋はおていに万右衛門が死んだことを話す。おていは万右衛門の家を追い出されたとのこと。おていの親がおていが帰って三日も経たずに死んだとは、と話すと佐嶋は三日前に帰った後はどこにいたのかと尋ねる。おていは追い出された後はフラフラとしていたと話す。同心たちは引き上げ、鬼平の感ばたらきも風邪のせいで狂ったかと話す。

 おていは家族が寝ている間に出かけ、隠していた甕を掘り出す。それを佐嶋が見つけ甕の中を調べると金が出てくる。鬼平は報告を聞いて万右衛門の行動を理解する。そして鬼平はおていの取り調べを行う。おていは信州へ向かったが利平のところには行かなかった、万右衛門は死んでしまいそうだし、金を独り占めしても誰にもわからないと思った、と話す。鬼平は正直に喋るおていの話を聞き笑う。おていは牢の中でよく食べよく寝た。鬼平はおていの処分は軽くするつもりだ、おていは女娼に比べれば可愛いものだ、と話す。そこへ酒井が信州から加納屋利兵衛について報告があったと知らせる。利兵衛は十日前に病死しており、家族は利兵衛が盗賊であったことを全く知らなかったとのこと。鬼平、佐嶋、酒井は全ての事情を知り笑う。鬼平がくしゃみをすると久栄が心配するが、鬼平は宗仙先生を呼べと話す。

 

 鬼平には珍しい血なまぐさい話が一切出てこない話(シーンとしてはあるが、過去のことだったり、夢の話だったり)。見た目の悪い女が仕えた男が元盗賊で、その隠し金をせしめてしまう、というだけの話。ある意味、金が人を狂わせる、という寓話にもなっているが、それよりは金に振り回される万右衛門の愚かさが目立つ。そしておていのあっけらかんとした気持ちと行動に鬼平が笑う。小話のような話だった。

 また勘違いかもしれないが、第10話といい、この話といい、佐嶋がちょっと目立つ存在になってきている気がする。普段なら鬼平がしたり話したりすることを代わりにやっているというか。吉右衛門さんが忙しかったのかしら?