太陽がいっぱい

●200 太陽がいっぱい 1960

 ローマでトムとフィリップが遊んでいる。そこへフレディがやってくる。フィリップは金持ちの息子、トムはフィリップをアメリカに連れて帰れば彼の父親から5000ドルをもらえることになっていた。フィリップとフレディはタオルミナで会う約束をする。

 トムとフィリップはローマの街を満喫していた。盲人から杖を買い取り、それを使って女性をナンパ。トムはフィリップの召使いのように様々なことを命令されていた。トムは女性が落としたイヤリングをそっとポケットに入れる。

 彼らはモヘンジロの家へ帰る。そこにはフィリップの婚約者マージュが待っていたが、彼女はフィリップに相手にしてもらえなく怒っていた。フィリップが彼女のご機嫌を取っている際、トムはフィリップの服や靴を身につける。それを見たフィリップは怒る。

 トムの元へフィリップの父親から手紙が届く。フィリップが帰ってこないことで5000ドルの契約を打ち切られようとしていた。トムはフィリップに旅行のつもりで一度アメリカへ帰ることを勧めるが、フィリップは聞く耳を持たない。それどころか、フレディとの約束のタオルミナへ船で出かける。船にはフィリップ、トム、マージュが乗ることに。マージュと愛し合いたいフィリップはトムに船の操縦を命令する。トムはそれに従うが、船室でフィリップがマージュに二人きりになるためにトムを船から降ろそうと話しているのを聞いてしまう。トムは船を乱暴に操縦、そのためボートが外れてしまいそうになる。フィリップとトムでなんとかボートを捕まえるが、怒ったフィリップはトムをボートに乗せたまま放置する。

 船室でマージュと愛し合ったフィリップが船上へ出て見ると、ボートがなくなっていた。トムは船を旋回させボートを探す。じきにボートは見つかるがトムはひどい火傷を背中に負っていた。マージュがトムの看病をしている際に、フィリップはトムの服から自分の銀行口座の明細を見つける。夜トムはフィリップとマージュが寝静まった後、ローマで拾った女性のイヤリングをフィリップの服のポケットへ入れる。

 船室でマージュが自分の書いた文章をフィリップに聞いてもらおうと声をかける。しかしその気のないフィリップに怒ったマージュはイヤリングのことを持ち出し怒る。その態度に怒ったフィリップは彼女の書いた文章の紙を海に投げ捨ててしまう。怒ったマージュは船を降りてしまう。

 船にトムとフィリップ二人きりになる。フィリップはトムが話したフィリップを殺す計画の話をしながらトランプをするが、隙をついてトムはフィリップをナイフで刺し殺す。そして遺体を毛布でくるみ、海へ投げ捨てる。

 モヘンジロへ戻ったトムはマージュに会う。フィリップが生きている風に装いながら、マージュがフィリップに会おうとするのを止める。トムはフィリップの船を売ることを考えるが、サインが必要だと言われる。彼はパスポートの偽造、偽サインを書く練習を始める。

 そしてフィリップの名前でホテルに泊まる。マージュへの手紙や電話を偽造し、フィリップがまだ生きているように見せかける。ホテルに知り合いが来てピンチを迎えるが、トムは機転をきかせてなんとか逃げ延びる。ホテルの滞在が長くなり従業員とも親しくなり始める。そこへフレディがやってくる。会話でごまかし、フレディを追い返すが、従業員がトムのことをフィリップの名で読んでいることに気づかれてしまい、フレディは彼の部屋へ戻ってくる。トムは彼を殴り殺す。夜フレディの死体を酔った男のように見せかけ、車に乗せ、崖から投げ捨てる。

 ホテルに戻ったトムだったが、警察が彼を訪ねてくるのを目撃する。彼は屋上へ廻りなんとか逃げ切る。トムは銀行でフィリップの名を語り1000万リラを下ろす。そしてフィリップのなで借りていたホテルの部屋に電話をし、(警察相手だとわかった上で)自分の名を名乗り、滞在場所を伝える。トムのいるホテルにフレディ殺しの件で警察がやって来て事情聴取をされる。また遺体確認にも参加する。警察が尾行していることを知った上で、トムはマージュにフィリップがまだ生きていることと居場所を話し、彼のふりをしてその部屋に滞在、警察に見つかる前に逃げ出す。

 トムはマージュに会いにモヘンジロへ行く。彼女が誰とも会わないと聞き、密かに忍び込む。そして二人は結ばれる。トムは欲しかったものを全て手に入れた。

 フィリップの船の売買が決まる。そのため船を海から引き上げ点検するのにマージュは立ち会うことに。しかし船のスクリューにはロープが絡まっていて、その先にはフィリップの遺体を包んだ毛布が上がってくる…

 

 随分昔に一度見た記憶があり、衝撃的なラストシーンははっきりと覚えていた。その分驚きはあまりなかったが、ストーリーに集中することができたかも。

 完全犯罪を企む男の物語。ラストシーンも覚えていたが、サインを練習するシーンも印象的でよく覚えていた。偽サインや偽造パスポートなどのテクニックや、あえて警察のいるはずのホテルの部屋に電話をする、など、確かに完全犯罪を目指す犯人っぽいが、フレディをあっさり殴り殺してしまうのはどうなのか(笑 フィリップの死体は当分上がってこないので、フレディ殺しの件がないと警察が動かないから仕方ないか(笑

  今回wikiで、原題の意味を初めて知った。なるほど、「太陽がいっぱい」って『それ』っぽいタイトルだと思ってたけど、本当の意味は違ったのね。ひとつ勉強になりました。

 

 アランドロンの出世作、有名なテーマ曲、完全犯罪が崩れさるラスト1分。名作と呼ばれるのにふさわしい作りの一本。