鬼平犯科帳 第5シリーズ #03 蛙の長助

 第5シリーズ #03 蛙の長助

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 盗人たちが廻船問屋上総屋から盗んだ品を運び出している。盗人同士がぶつかり千両箱が開き小判が地面に散乱する。男たちは急いで拾い集めるが、中の一人が一枚の小判を自分の懐へ。監視していた男がそれを見つけ、懐に入れた男を刺し川へ蹴り飛ばす。

 翌日には盗人たちの名前が火盗に知れることとなった。川から上がった死体を見た彦十がその男を知っていた。ネズミと呼ばれ、かつては戸田の房五郎の下で、今は夜嵐の定五郎の配下として働いていた。盗賊改方は夜嵐の定五郎の情報を集め始める。

 鬼平も笹やのお熊の元を訪れた。その時侍が老人を痛めつけているのを見かけ、侍を追い払う。鬼平は老人と酒を飲む。老人は蛙の長助、侍は今井勘十郎。長助は今井から30両の金を取り立てようとしていた借金取りで、三浦屋彦兵衛の元で働いていた。

 長助はあちこちでしつこくあこぎに借金取りの仕事をこなしていた。

 長助は飲み屋で酒を飲んでいた。そこへ今井が現れ、いつでも金を取りに来い、この間の礼はたっぷりとする、と言い残し去って行く。

 長助は笹やのお熊に鬼平のことを尋ねる。お熊は鬼平の正体を明かさず答える。

 彦十が役宅へ。鬼平に浅間の捨蔵のことを話し、夜嵐の定五郎との関係はわからないが、定五郎の動きとかぶると報告する。その後役宅へお熊がやってくる。長助が鬼平に金貸しの取り立ての手先になってほしい、と言ってきたことを話す。

 夜鬼平は長助の家に行き二人で酒を飲む。そして長助が昔盗人をしていたことを聞く。そして二人は今井のところへ借金の取り立てに行く。今井は刀を抜くが鬼平が抑える。すると奥からやってきた男が32両をポンと払う。長助は金を持って三浦屋へ行き、駄賃の3両を貰う。その際残りの仕事を聞く。それは横川町の宇助の20両の仕事で、長助が取りそびれていた一件だった。鬼平は長助を酒に誘うが、長助はヤボ用だと言い行ってしまう。長助は宇助の娘おきよの元へ。

 鬼平は五鉄でおまさと会い、今井の話をしていた。今井の借金をポンと払った家のことを調べるように命じる。

 おきよは自分の生い立ちのこと、親は育ての親だが、感謝していると長助に話す。そして借金のカタに自分の身を売ることも覚悟していた。長助は実の親の名前を聞く。おきよは母親はおきよ、父親のことは知らない、と話す。長助はその話に覚えがあった。

 長助は家に帰った。家の中が荒らされていた。そこへ鬼平が現れどうしたのかと聞く。長助は昔の盗人仲間に狙われたと話す。その仲間とは浅間の捨蔵だった。そして壁を取り壊しその中から貯めたお金を掘り出す。鬼平は随分貯めたと笑うが、長助はこの金で楽に暮らすつもりだったが、そう行かなくなったと話す。

 彦十とおまさがお、今井のいた家に忍び込む。そこでは盗みの計画が立てられたいた。翌日三浦屋へ盗賊改方が出向く。その日の夕刻長助は宇助の借金のうち17両を返していた。主人は長助に盗賊改方から夕刻以降外へ出るなと言われていると教える。

 夜更けに、夜嵐の定五郎、今井勘十郎、浅間の捨蔵を含む盗賊たちが三浦屋を襲った。しかしそこには盗賊改方が待ち構えていた。長助は撃ち入ってきた鬼平の姿を見かけ驚き倒れ死んでしまう。

 おまさはおきよの店に行き、長助が借金の肩代わりをしたこと、足りない3両を足してくれた人がいたことを話す。ただし3両を誰が払ったかは言えないとも。その頃役宅では久栄が3両のことを鬼平に問いただしていた。久栄はお熊から鬼平が3両を稼いだことを聞いていた。庭では蛙が鳴いていた…

 

 第5シリーズ第2話に続き、人情噺の色合いが強い話。夜嵐の定五郎一味の話が出てくるが、まるでとってつけたような話。第4シリーズ15話以来、久しぶりに笹やのお熊も出てくるが、久栄も絡むエピソードも尺を稼ぐためのお笑いエピソードのように見える。偶然知り合った女が実の娘で、それを助けてやる、というのは時代劇ではよくあるストーリーだからちょっと工夫したのかなぁ。

 長助役の米倉 斉加年さん。男はつらいよのチョイ役でよく目にした人だが、懐かしい。第1シリーズ第9話兇賊の九平役で登場していた。こちらはSPとなったエピソードでSPでは小林稔侍さんがやっていたが、米倉さんの九平も味があった。しかし長助、捕り物の場で鬼平と出くわし心の臓の病でショック死とは。その前振りはあったけど、ちょっと珍しいオチ。珍しいと言えば、彦十とおまさが今井の家に忍び込むのに、黒装束に身にまとっていたのも初めてではないか。第5シリーズは第1話でもコスプレのような服装が見られたが、まさかこれが第5シリーズのウリ?(笑