街の灯

●215 街の灯 1931

 チャップリンは浮浪者。街角で花を売る盲目の少女を見かけ花を買う。偶然彼女は彼のことを車に乗ったお金持ちだと勘違いするが、チャップリンはそのままにし、彼女を見つめる。彼女は祖母と暮らす家に帰る。

 その夜、チャップリンはお金持ちが自殺しようとする現場に遭遇し彼を助ける。彼はチャップリンを家に招待する。家で酒を飲みながらもお金持ちは自殺しようとするが、またもチャップリンが助ける。彼は店に繰り出そうとチャップリンを誘い夜の街へ出る。二人は朝まで飲み続け、車で家に帰る。

 チャップリンも家に入ろうとするが、執事に追い返される。家の前にいたチャップリンの前を花売りの少女が通りかかる。お金持ちはチャップリンを家に入れるよう執事に言う。チャップリンはお金持ちに花を買おうと提案し、金をもらい、少女のところへ行く。全ての花を買うチャップリン。そして彼女を車で家まで送ることに。

 チャップリンは車で家に帰るが、お金持ちは酔いが覚め別人になっていた。チャップリンは追い出されてしまう。午後になりチャップリンが街をうろついていると、またもお金持ちと出会う。彼はまた酔っ払っていて、チャップリンを家に招待し、パーティを開こうとする。パーティに参加するチャップリン

 翌朝ベッドで目覚めるとお金持ちは酔いが覚めておりチャップリンを追い出す。そしてヨーロッパへ旅に出る。

 追い出されたチャップリンは花売りの少女のいる街角へ行くが彼女はそこにいなかった。彼女の家に行くと彼女は病気だった。彼女を助けるためにチャップリンは清掃の仕事を始める。

 少女の祖母は家賃の支払いを迫られていた。明日までに払えなければ立ち退かなければいけなかった。チャップリンは仕事の昼休みに彼女の家へ行く。食べ物を差し入れ、新聞の盲目の手術が成功した記事を読んで聞かせる。そして偶然家賃の支払いを求める手紙を読んでしまう。悲しむ少女に自分が明日までにお金を支払うので心配しないでと話す。

 チャップリンは仕事に戻るが、休み時間を過ぎており遅刻してしまう。それを理由にクビとなってしまう。そんな彼を見ていた男が手っ取り早く金を稼ぐために賭けボクシングをしないかとチャップリンを誘う。彼はその話に乗る。チャップリンは対戦相手と八百長の取り決めをし、賞金を山分けするつもりだった。しかし対戦相手は警察に追われる身で逃げてしまう。チャップリンは別の男と戦うことに。頑張る彼だったが試合には負けてしまう。

 明日までにお金を作らなければいけないチャップリンは夜の街をさまよう。そこで例のお金持ちと出会う。彼は旅行から帰ってきていたのだった。彼の家に行く。そこでお金持ちは少女のお金の件は私が面倒を見ると言い、1000ドルをチャップリンに渡す。それを家に入った強盗が見ていた。強盗はお金持ちを殴り倒す。驚くチャップリンだったが、逃げる強盗を追うと警官に呼び止められる。執事も出てくる。警官はチャップリンが持っている1000ドルについて聞く。チャップリンはお金持ちにもらったと告げるが、正気に戻ったお金持ちは何も覚えていなかった。チャップリンはその場を逃げ出し、少女の家に向かう。彼女に1000ドルを渡し家賃と眼の治療費とするよう話す。そしてしばらく会えなくなると言い残し去って行く。チャップリンは街角で警察に捕まり刑務所に入ることに。

 季節が流れ、チャップリンは刑務所から出てくる。少女は祖母とともに花屋を開業していた。その店に偶然通りかかったチャップリン、少女は彼に花とお金を恵もうとして手渡す。その時チャップリンの手に触れ、それがあの時の男性だと気付く…

 

 これまた有名な作品だが、久しぶりに見たので内容は忘れていた。もちろんラストは忘れるわけはないが。それでも泣けた。

 サイレント映画であり、状況説明が画面に字幕として表わされるぐらい。しかし動きだけでチャップリンは十分笑わせてくれる。冒頭の道端の工事中の場所をチャップリンが行ったり来たりするシーンは、実に見事なまでにチャップリンの動きと昇降する台の動きが合っている。それ以外のシーンも本当に面白い。さすがである。

 それでもこの映画が優れているのは、やはりラストシーンだろう。youから始まる二人の最後の3つのセリフ、二人の表情、そしてENDマーク。この後二人はどうしたんだろうと思わせる。しかし何もそれを示さず終わる。少女が歓喜するわけでもなく、ただチャップリンを見つめその手を触り続ける… 映画の続きは観客の数だけあって良いのだろう。90年も前にこんな映画を作っていたなんて。やっぱりチャップリンはスゴい。