鬼平犯科帳 第5シリーズ #12 艶婦の毒

 第5シリーズ #12 艶婦の毒

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 鬼平が京都へ父親の墓参りに行くことに。一月あまり江戸を離れることになるが、これは日頃の激務に対する老中松平定信の思いやりでもあった。鬼平は若い時に二年ほど京都で過ごしたことがあった。

 鬼平が京へ行く際のお供が話題になる。同心たちは自分の腕を売り込むために役宅の庭で剣の稽古をするし、密偵たちはお供が誰になるかで賭けをするほどだった。お供に選ばれたのは忠吾だった。お供は鬼平とともに歩くのではなく、先を行き鬼平のための宿を抑えることが目的だったため、忠吾は喜んでお供の役目を引き受けた。

 そして鬼平は京に入る。宿は三条白川の津国屋(つのくにや)だった。翌日墓参りをした鬼平は浦部彦太郎と出会う。鬼平は浦部の父、源六郎には生前世話になっていた。源六郎は若き日の鬼平が盗人宿の女主お豊に惚れたのを諌めてくれたのだった。天満宮の門前の茶屋で鬼平はそのお豊を見かける。そこへ走り寄る男がいた。それは忠吾だった。鬼平は二人をつける。二人は料理屋紙庵へ、鬼平も店に入る。鬼平は源六郎に言われたことを思い出していた。店を出たお豊を鬼平はつける。それを男二人が見かけ、鬼平が誰なのか探りを入れる。お豊は筆屋柏屋へ帰る。店には客の松屋が来ており、綾小路への出入りが可能になったことを知らせてくれていた。

 鬼平をつけていた男は、宿の女に鬼平のことを尋ねる。そこへ宿の主人が出て来て、鬼平の使いで奉行所に手紙を届けるというのを聞く。

 夜、宿で鬼平と忠吾は酒を飲んでいた。今日一日何をしていたかを忠吾に尋ね、嘘ばかり話す忠吾に鬼平は明日も自由にしてこいと話す。忠吾は明日もお豊に会えると喜ぶ。翌日、鬼平は忠吾に今日は一歩も外へ出てはいかんと話し出かける。忠吾は宿の女に料理屋への手紙を託す。宿の女を鬼平はつける。宿の女は料理屋俵駒へ行くが、お豊はまだ来ておらず、手紙は代わりに浪人が受け取る。鬼平は俵駒が見えるうどん屋へ入る。お豊が俵駒へやってくる。そこへ浪人が入ってくる。お豊は彼をお頭と呼び、松屋の図面を渡す。褒美を求めるお豊にお頭は忠吾の手紙を渡し、昨日お豊をつけていた男(鬼平)のことを話す。鬼平奉行所へ手紙を出したことから、盗みの前、今晩鬼平を殺すつもりだとお頭はお豊に話す。

 鬼平は忠吾をうどん屋へ呼び出し、見張りをすると話し、俵駒を指差す。忠吾は慌てる。その時お頭が店から出てくる。鬼平は忠吾に後をつけるように命じる。お豊は店で一人酒を飲みながら、幼少の頃のことを思い出していた。鬼平のところへ浦部彦太郎がやってくる。手紙で問い合わせをしたお豊のことを調べて来ていた。お豊は一年前に柏屋と結婚しており、その前は広島や博多にいたこともあったと思われた。

 忠吾はお頭の後をつけ、盗人宿を見つける。そこでお勤めは夜明けに、という言葉を聞く。その頃俵駒からお豊が出てくる。鬼平と目が合うが儀礼的な会釈をするのみだった。お豊が柏屋へ帰るのを見届けて鬼平は宿へ帰る。それを待ち構えていた男たちが斬りかかる。忠吾がこの男たちは盗人だと告げにくる。鬼平は返り討ちにし、奉行所へ浦部彦太郎を呼びに行かせる。この夜のうちに、盗人一味とお豊は捕まる。

 翌日忠吾は俵駒へ行き、女中にお豊のことを聞く。店の外では、鬼平がさてどうしたものか、と呟いていた。

 

 鬼平が京都へ行くという設定の話は過去にもあった?と思うが、京都に滞在し、しかもそこで事件を解決する、というのはおそらく初めてだろう。京都であるから故、盗賊改方も密偵もおらず、忠吾と二人で事件を解決する。

 若い頃に父と一緒に京都で暮らしていた時に知り合った女性との再会、しかもその女に忠吾が惚れ、さらにその女は昔から盗人一味でどうやら今も同じ仕事をしている、という様々な事情が重なった話。女性が昔鬼平に言われた言葉を今も覚えている、というシーンがあり、鬼平とお豊との再会シーンを期待したが、結局お豊は鬼平を見ても気づかないという結末でちょっとがっかりかな。

 冒頭、お供を誰にするかで同心たちや密偵が盛り上がるのはちょっと面白かった。それを賭けにするというのは不謹慎だと思うが、これをしないと同心も密偵も今回は出番がないから、苦肉の策なのか?(笑

 しかし忠吾の女好きっぷりはいつ見ても可笑しい。お豊役の女優さんは忠吾との年齢差が20歳ぐらいあり、不自然に見えても仕方ないのに、忠吾だからそうかも、と思わせるのがある意味スゴい(笑

 

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