朔風ノ岸 居眠り磐音江戸双紙 佐伯泰英

●朔風ノ岸 居眠り磐音江戸双紙 佐伯泰英

 磐音シリーズ第8作。季節は年末から年明け。備後屋毒殺事件、大阪両替商今津屋での火付騒動、修善寺賭場騒動、中川淳庵勾引事件、吉原絵師殺害事件。

 磐音シリーズは各本とも5章から成り立っている。上記したのは各章での主だった出来事だが、この第8作では、これら事件?の他にも大きな意味を持つ出来事が並行して進行している。

 豊後関前藩からの船荷がいよいよ江戸へ向かうことになるし、磐音の妹伊代の結婚話、幸吉の奉公話、吉原での花魁No.1決めの話も出てくる。長いシリーズならでは、であるが、時間の流れが感じられるところである。

 また磐音が修善寺からの土産として生山葵を持ち帰り、知り合いに配る場面では、磐音の周りの登場人物たちが生き生きと描かれ、8作目の余裕が感じられる。

 各話は少しこぶり気味だが、話全体としてはますます面白くなってきている。