荒海ノ津 居眠り磐音江戸双紙 佐伯泰英

●荒海ノ津 居眠り磐音江戸双紙 佐伯泰英

 磐音シリーズ第22作。季節は冬。磐音おこん博多箱崎屋へ訪問とお咲若侍救出、江戸への便りとお咲と猪俣の件調査、品川柳次郎とお有の出会いと磐音太宰府訪問とお咲猪俣手助け、お有の縁談と御書院八幡家賭博取り締まり、柳次郎品川家当主へ。

 前作で関前藩を訪れていた磐音たちが、藩内で悪行を働いていた中津屋の立て直しを手助けしてくれる箱崎屋の誘いで博多へ訪問することに。道中偶然知り合ったお咲と若侍猪俣の恋を磐音が手助けする。これは今津屋吉右衛門の妻を娶る時のエピソードと似ている。

 そして前作でもあったが、江戸の様子が描かれ、今作では品川柳次郎の恋の話。

 一番の見せ場は、品川家の再生。柳次郎の母幾代は、夫や柳次郎の兄が家を出ていることから、品川家の断絶を覚悟するが、今津屋由蔵などの働きにより、柳次郎が家督を継ぎ、さらにお有が嫁に来ることも決まり、品川家にもやっと春がやって来ることに。

 磐音とおこんの結婚が決まり、18作では道場師範の鐘四郎の、今作では磐音の江戸住まい当初からの友柳次郎の、結婚が決まる。今津屋の出産や磐音の結婚も含め、シリーズ全体がおめでたブームと言ったところか。

 そして磐音たちも江戸に帰ることに。久しぶりに皆が江戸で勢ぞろいする。当然のことながら次作も楽しみになってきた。