風立ちぬ

●301 風立ちぬ 1976

 昭和17年。節子は父欣吾と軽井沢の別荘で暮らしていた。欣吾は近所に住む青年たちを家に招き食事や酒をご馳走する。その場で節子のお見合い相手の写真が話題になる。達郎は節子に惚れておりその話には不愉快にならざるを得なかった。

 達郎は東京の大学を受けることになっていたが、また軽井沢に帰ってくると節子に約束する。達郎は家に帰ると兄の真次郎が帰ってきていた。真次郎と剣道の稽古をした達郎だったが、兄に節子と一緒のところを見られており、稽古後に叱られる。

 節子の家に叔母がお見合い相手を連れてやってくる。見合い相手に会うのを拒む節子だったが、積極的な相手だったため、近所を散歩することに。それを達郎たちが見かける。達郎の先輩大浦が節子に声をかけ学校が火事だと嘘をつき、節子を連れて行ってしまう。

 見合いの席を抜け出してしまった節子のことを叔母は怒る。そしてまた新しい見合い話を持ち込んでくる。そこへ達郎が来たことを知らされた節子は家を飛び出す。そして達郎にまた見合い話があったら、達郎に壊して欲しいと話す。

 達郎は東京の大学に通う。大浦は兵隊として戦争に行くことになる。

 節子は新しい見合いも父に断る。しかし父は今の時代では男女が知り合う機会は少ないと節子に話す。節子は達郎に会い、見合いを壊して欲しいと頼む。達郎は明日節子の父に会いに行くと話す。

 達郎が家に帰る。兄真次郎に節子とのことを話すが、兄は戦争で命を落とすことがわかっていて結婚するのは反対だ、今は女性を幸せにできる時代ではないと言われてしまう。その時友人が達郎を訪ねて来て、大浦が戦死したと知らせる。

 翌日達郎は節子の父に会いに行く。そして結婚の申し込みをするつもりだったが、戦争で死ぬことがわかっていて結婚するのは、節子さんを不幸にするだけだと話す。家に帰った達郎に何度も節子から電話があったことが知らされるが、達郎は東京に戻ったと伝えてくれと答える。

 連絡を受けた節子のところへ、父欣吾が帰って来て、昼間達郎が訪ねて来たことを話す。そして大浦が戦死したこと、達郎の言葉を伝える。悲しむ節子はひどく咳き込み、吐血する。欣吾は節子を病院に連れて行くが、結核だと診断される。医者の勧めで富士見高原の療養所へ節子を入れることに。

 昭和18年。節子は療養所には行かず自宅で療養していた。達郎は仲間たちと呑んだくれる生活をしており、仲間たちと娼婦を買いに行く。しかし達郎は女を抱くことはなく過ごす。そんなある日、達郎は欣吾と会う。そして節子が結核にかかり、療養生活をしていることを知る。達郎は節子に会いに行くが、節子は結核が移ることを気にして達郎に会わずに帰ってもらう。達郎は父に節子との結婚の許しを請いに行くが、相手が病気であることを理由に父親は話を受け付けなかった。

 達郎は節子に会いに行く。そして欣吾に一緒に療養所に行くことを許可してもらったと話す。2人は療養所へ行くことに。欣吾に達郎の父から手紙が来る。そこには達郎の兄弟が皆徴兵され戦争に行っていること、達郎を返して欲しいということが書かれていた。

 節子の療養が続く。達郎は新聞で大学生に許されていた徴兵猶予が停止されることを知る。達郎のところに父の名代の者がやって来て、徴兵のことを知らせる。達郎は節子にはその事を黙っておき、自分の代わりに節子の家のお手伝いのしのを呼ぶことに。

 しのは節子に新聞を渡し、学徒出陣の記事を読ませる。

 達郎の兄真次郎が出陣することになり、達郎も兄に会いに行く。そこには家族が集まっており、真次郎は父親に達郎の結婚を許してやって欲しいと頼む。達郎は節子の元へ帰り、婚約が許された事を告げる。達郎は節子の元で一緒に過ごす。達郎の友人中山が2人の元を訪れ、結婚した相手を紹介する。その場で中山が達郎と一緒の部隊に入る事を話してしまい達郎は慌てるが、節子は全て知っていたと話す。

 達郎の出兵が近く。節子は達郎に抱いて欲しいと懇願するが、達郎は必ず生きて帰って来るからその時に、と答える。

 そして出兵の日。欣吾を待っていた達郎は欣吾の姿を見て、療養所から出かける。その直後、節子の容態が急変する。

 達郎は駅から電話をかける。欣吾は節子が早朝亡くなった事を告げるが、電話が遠く達郎には伝わらなかった。達郎が節子への伝言を頼み節子の様子を聞くため、欣吾は必ず帰ってこいと話す。

 昭和21年。達郎は生きて帰って来たが、節子はもういなかった。

 

 百恵友和シリーズの第4作。百恵ちゃんは前作で三浦友和ではない主人公と組んだ作品「エデンの海」に出演していたが、どうやらそれではダメだという事でコンビ復活となったのか(笑

 ストーリーとしては、前回のコンビ作「絶唱」に続く悲劇。しかも戦争に影響を受ける二人、という昭和40年代あたりではもっとも多く作られたパターン。

 途中、戦争で死ぬことがわかっていてそれでも結婚をするのはどうか、というテーマが登場人物たちから語られる。現在では、先がなくても愛し合っているならば一緒になる、というストーリーがほとんどだが、戦後30年の1976年に作られたこの映画では、こちらの方が自然に受け入れられたんだろう。戦争による死と病気による死を同時に描くことで、原作以上の悲劇感を増したと思える。

 若い松平健がおかしな味を出しているのに驚いたが、極め付きはラストの芦田伸介だろう。電話での会話、その演技に圧倒される。

 

 

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