孤愁ノ春 居眠り磐音江戸双紙 佐伯泰英

●孤愁ノ春 居眠り磐音江戸双紙 佐伯泰英

 磐音シリーズ第33作。季節は春。前作事件後の磐音の仲間たちの様子と磐音おこんの旅立ち、箱根越えと偽名の手形入手、島田宿逗留と江戸からの追っ手、舞阪銃積み船への細工、刈谷宿佐々木家墓と小姓組陣内との戦い。

 

 前作で衝撃的な結末を迎え、玲圓、おえい、家基が亡くなり、道場は召し上げられる。磐音おこんは今津屋の持っていた家へ仮住まいするが、そこを抜け出て、東海道を西へ向かう。

 田沼一派がそれを許すはずもなく、追っ手が送られ、さらにマスケット銃も運んで来られる。大決戦を避けたいと考える磐音は弥助霧子おこんと力を合わせ、銃を積んだ船を沈めて難を逃れる。しかし雹田平なる人物が新たな敵として浮かび上がってくる。

 前作から暗い雰囲気で話が続くが、旅を続け、江戸からの追っ手との戦いの中で、やっと明るい姿が少しづつ戻ってきた。佐々木家の墓所にも無事参ることができ、さぁ今後磐音たちはどこへ向かうのか。