おしゃれ泥棒

●303 おしゃれ泥棒 1966

 ニコル・ボネは車のラジオで父シャルル・ボネのセザンヌの絵が高額でオークションで売れたとのニュースを聞き、急いで家に帰る。シャルルは贋作作りの名人で、ニコルは父に贋作を売るのは危険だと話す。そこにパトカーに先導された車がやってくる。それは父が持つビーナス像を借りにきた美術館の車だった。ニコルはそれにも反対するが、ビーナス像は借りられてしまう。ニコルは科学的鑑定をされ、偽物だとばれることを心配していた。

 ビーナスは美術館で展示され大評判となる。金持ちリーランドはビーナス像に心を奪われる。

 その夜、ボネ家にデルモットが泥棒が入る。ニコルが気づき、警察に電話をしようとするが、贋作作りがばれることを恐れ、警察には連絡できなかった。デルモットと話しているうちにニコルの持っていた銃が暴発し、彼は怪我をする。ニコルは怪我を治療するが、今度はデルモットが車を運転できないと言い出し、ニコルが運転して送ることに。ホテルに送った後、ニコルはタクシーで帰ることにするが、別れ際デルモットはニコルにキスをする。

 翌日ニコルは美術館でデルモットと再会する。デルモットはビーナスの警備状況を詳しく聞きたがる。彼は美術専門の探偵で、ボネ家にも贋作調査のために忍び込んだのだった。

 リーランドがニコルに接触してくる。彼は彼女にビーナスに心を奪われたことを話し、売って欲しいと持ちかけるが、ニコルは相手にしなかった。リーランドとの食事の場にデルモットが現れ、もう一度話がしたいと言い、ホテルの部屋番号を告げて去って行く。ニコルは家に戻り、リーランドのことをシャルルに話す。そこへ美術館の代理人として保険屋がやってきてビーナス像の保険についてサインを求める。サインをしたことで、保険屋はビーナス像の科学的鑑定を行うことをシャルルに伝える。それを知ったシャルルは贋作であることがばれることを恐れ、絶望する。ニコルは父を慰め、デルモットに連絡をし、ビーナス像を盗み出して欲しいと依頼する。

 翌日デルモットとニコルは美術館を調べる。デルモットは、掃除用具入れの小部屋、警備室、脱出経路などを調べ、公園で子供用に売られていたブーメランを手に入れる。ホテルの部屋に戻り、ニコルに掃除婦の格好をさせる。そしてビーナス像を盗み出す理由をニコルに尋ねるが、彼女は答えなかった。盗みに協力をしないと脅すが、彼女は涙を見せるだけ。デルモットは仕方なく盗みに協力することを伝える。

 翌日ニコルは出がけにリーランドの訪問を受ける。彼はニコルに結婚を迫る。彼女はデルモットとの約束の時間に間に合わせるために婚約だけして家を出る。2人は閉館時間間近に入り、閉館ベルと共に物陰に隠れ、警備員がいなくなった後、掃除用具入れの小部屋に入る。途中、小部屋を外から施錠されるアクシデントに見舞われるが、デルモットの機転で鍵を開けることに成功する。そして警備見回りの間をぬって、ブーメランで警報機を作動させる。警備員たちは大騒ぎになるが、何もなく警報を止める。小部屋の中では、デルモットがビーナスが贋作であることをニコルに問いただす。ニコルは偽物だと知っていてなぜ盗みに協力したのか尋ねるが、デルモットはニコルにキスをし、それが答えだとニコルは気づく。

 2人はもう一度偽警報騒ぎを起こす。それにより大統領から連絡が警備室に入り、警備員は警報を切ってしまう。その隙に2人はビーナス像を盗む。

 朝になり、掃除婦たちがやってくる。ニコルはその中に紛れ込む。警備員たちがビーナス像がないことに気づき、大騒ぎになる。ニコルは警備室へ行くが、そこにいたのは警備員に変装したデルモットだった。2人はまんまと美術館から抜け出る。

 ビーナス像が盗まれたことを知ったリーランドは盗品でも良いので、ビーナス像を手に入れたいと美術商に話を持ちかけると、専門家だとデルモットを紹介される。

 ニコルはシャルルと共にお祝いをする。その頃ホテルではリーランドがデルモットと密会していた。デルモットはビーナス像のありかを知っていると匂わせるが、シャルル家との繋がりがあると、連中がワナだと思うと話し、シャルル家との繋がりを断つように話す。そしてリーランドは去って行くが、ニコルと出くわしてしまう。リーランドはニコルを避けるように逃げて行く。ニコルはデルモットと話をする。デルモットは自分は本当は美術専門の探偵であることを告げる。そこへシャルルがやってくる。

 デルモットは席をはずすが、ニコルはリーランドにもらった指輪ケースを開けると中は空だった。デルモットはリーランドにビーナス像を与えるが、中にはリーランドがニコルに送った婚約指輪も一緒に入っていた。

 デルモットはシャルルに贋作作りを引退するように勧め、シャルルも渋々それを受け入れる。デルモットはニコルと車で出かけるが、そこへゴッホを売って欲しいと依頼していた南米人がやってくる。シャルルを喜んで彼を家に招き入れる。

 

 有名な邦題なので昔から知っていて、観たつもりでいたが、今回観て初見であることに気づいた。あの美術館での警報を解除させるシーンは、ルパン三世ファンであれば一度観たら忘れるはずがない(笑 まさにあのシーンは、後のルパン三世を彷彿とさせるやり方だった(そんなエピソードはルパンにはないが、あのおしゃれなやり方はまさにルパンだ)。

 映画冒頭、泥棒を見つけるが、警察に電話できない時点でゆるいコメディだとわかる。そしてビーナス像を売るわけではないから鑑定はされない、とタカをくくっていた父親が鑑定されるとなり、大騒ぎする辺りから可笑しくてたまらない。美術館でなぜか警備中に酒を飲んでいる警備員も可笑しいし。

 もう一つ驚いたのは、音楽があのジョン・ウィリアムズだということ。wikiによればヘンリーマンシーニが候補だったらしいが、その弟子のジョンが推薦されたとのこと。まだ後の傑作の予兆は感じられないが、確かに映画に合わせた「おしゃれ」な音楽になっている。