鬼平犯科帳 第7シリーズ #03 妖盗葵小僧

第7シリーズ #03 妖盗葵小僧

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 寛政3年7月15日怪盗葵小僧が日本橋の筆屋竜渕堂を襲う。戸田の殿様を語り、戸を開けさせ侵入する手口だった。葵小僧は内儀お千代を主人の目の前で乱暴する。

 10日後、街を歩いていた忠吾とおまさは池で入水心中を図ろうとしていたお千代を助ける。2人はお千代を五鉄に連れて行き、事情を聞こうとするが、名前も話さなかった。

 鬼平は粂八の報告を受けていた。粂八の店に男2人が来たが尋常ではない様子だったため仕掛け部屋に入れ話を聞くと、2人は兄弟で、養子に出た弟が嫁が外道の盗人野郎にやられた、と話していた。粂八は弟をつけ、彼が竜渕堂の主人だと判明した。鬼平はお千代のことを心配するが、それが忠吾たちが助けた女だと気づく。

 鬼平はお千代に直接会う。そしてお千代のことを小さい頃から知っていると嘘をつき、お千代を安心させる。2人は店に入り酒を飲み食事をする。鬼平は時間が解決してくれる、と話す。鬼平はお千代を店まで送らせる。

 鬼平は盗人たちが竜渕堂に侵入した際、戸田家の用人の声がした、という点に注目する。鬼平は酒井に戸田家の用人を調べさせるが、その人物は高齢で病に伏しているとのことだった。鬼平は用人の声色を使ったのでは、と考える。そこへ沢田が来て、竜渕堂の主人夫婦が自殺したと報告する。

 この夜、神田の料亭に葵小僧が侵入する。今度は主人の妻の実家の浜屋の吉太郎の声が使われる。店の人間の証言で、葵の御紋の入った服を見たとのことで、鬼平は激怒する。この件が知らされたのは、店の使用人伊三郎が五郎蔵の昔の遊び仲間で、五郎蔵に相談した結果だった。伊三郎は吉太郎の身元を保証する。鬼平はやはり声色を使っていると判断、戸田家と浜屋の両方に出入りしている人間を調べ始めるが、怪しい人物はいなかった。

 そして葵小僧は次に乾物屋小田原屋に押し入る。その際娘の身を守ろうとした父親が惨殺される。殺しが行われたことで盗賊改方に緊張が走る。その時最初に被害にあった竜渕堂の手代が役宅に来る。手代は畳屋をしている父親を連れて来ていた。父親は3ヶ月ほど前に浜屋で畳をかえる仕事をした際、役者の声色を聞いた、その場には吉太郎もいた、ということだった。酒井は吉太郎から事情を聞き、人相書きを作る。そしてその人相書きを戸田家の用人に見せる。用人は上方訛りの貸本屋の男だと話す。

 盗賊改方では人相書きを元に全力で調べに入るが、手がかりは見つけられず、葵小僧の動きもないまま1ヶ月が経った。9月の十五夜、小間物屋日野屋が襲われる。

 それから1週間が経ち、日野屋の主人が役宅を訪れ、葵小僧に襲われたことを話す。1週間前に襲われ300両を盗まれ、内儀も襲われたが、昨夜また葵小僧がきて内儀を嬲っていき、また来ると話したとのことだった。

 同心と密偵たちが日野屋の張り込みを始める。10日後、酒井が人相書きの男を見かける。日野屋の向かいの骨董屋に入っていった。7日後、骨董屋に怪しい人が集まる。鬼平たちはおまさの声色を使い骨董屋に討ち入る。

 葵小僧は鬼平を前に観念するが、お白州でこれまで犯して来た女たちの名前を全て喋る、と話す。しかし鬼平はその場で葵小僧を斬り捨てる。鬼平のやり方に幕閣や奉行所から苦情が上がったが、鬼平は胸を張って抗議に答えた。

 

 この話は、さいとうたかを版の漫画鬼平犯科帳で随分と昔から知っている話で、ドラマにはなっていなかったか、と意外な気がした。鬼平シリーズの中でも、外道度が高い?犯人なのに、なぜこれまでドラマ化されていないのだろう?多くの女性たちが被害に会うのがTV的ではないと思われたのかしら。それとも犯人役が見つからなかったのかなぁ。まさかそれで島木譲二?まさかね(笑

 話としては、多くの女性たちが被害に遭い、うち一人は夫婦揃って自害するという悲惨な結末を迎えており、ラストの葵小僧の開き直りも憎たらしく感じるため、鬼平の斬り捨ては納得できる行為で気持ち良い。なんか久しぶりに「らしい」場面だった。

 第7シリーズで初めて五郎蔵、粂八が登場。最後の場面もしっかりと同心たちや鬼平の捕物を見ることができた。まだまだいけそうで一安心、第7シリーズ。