鬼平犯科帳 第7シリーズ #05 礼金二百両

第7シリーズ #05 礼金二百両

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 鬼平は風邪で寝込み悪夢を見てうなされていた。その頃久栄は母からもらったべっ甲の櫛を売ろうとしていた。盗賊改方の費用として用立てるつもりだった。

 同心たち、特に忠吾は鬼平の病を鬼の霍乱だと笑っていたが、与力小林に窘められていた。小林はこのような時に重大事が起こらなければ良いがと心配していた。

 ある日旗本横田大学の息子千代太郎が母の見舞いに出かける。しかし途中浪人たちに襲われ誘拐されてしまう。家来の一人山中伊助は犯人から横田への手紙を受け取り屋敷に戻る。手紙は千代太郎と引き換えに千両を出すこと、受け入れるならば3日後屋敷に紅白の吹き流しを掲げること、さらに横田家の家宝である新藤五国光を預かった、と書かれていた。新藤五国光とは家康から横田家先祖が拝領した大事な品だった。大学はすぐに屋敷の土蔵に行き確認するが、確かに新藤五国光は盗まれていた。

 その夜与力小林が病床にいる鬼平に相談をする。小林の叔父谷は横田家の用人で、千代太郎の誘拐、新藤五国光の盗難を密かに小林に相談しに来たのだった。鬼平は犯人の要求通り吹き流しを掲げるよう小林に伝えるが、犯人たちがどのようにして新藤五国光を手に入れたのか、を不思議がる。鬼平は彦十への手紙を久栄に託す。

 彦十は横田家に潜入する。屋敷内を調べ、土蔵がしっかりしていることから、ここから新藤五国光を盗むのは容易なことではなく、内部の者が一枚噛んでいるという鬼平の考えを裏付けることになる。

 小林は叔父である谷と会い、横田大学に恨みを持つ人間がいないかを尋ねる。

 そして3日後、横田家の屋敷に紅白の吹き流しが掲げられる。すると千代太郎誘拐時に付き添っていた家来山中が屋敷から抜け出る。彦十とおまさが跡をつける。山中は誘拐犯たちと会っていた。山中は妹の仇だと話し、犯人の主犯格又太郎は母親の仕返しだ、と話す。山中の妹であり、又太郎の母もよは、20年前、横田家の先代が手をつけ孕ませたが、それを知った先代の妻芳乃がもよを屋敷から追い出したのだった。そして又太郎を産んだ後に死んでしまっていた。二人はその仇として千代太郎を誘拐していた。

 山中は屋敷に戻り、犯人からの手紙を大学に渡す。それを読んだ大学は落ち着いていた。そして20年前のことを山中に話し、芳乃がもよにしたことは酷いことだった、と謝罪し、千代太郎の誘拐に関係しているのかと問いただす。それを聞いた山中は切腹しようとするが、それを鬼平が止める。そして新藤五国光のありかを聞き出す。

 その頃、彦十とおまさは犯人一味の寝ぐらを突き止めていた。場所を知らせに役宅に知らせにおまさが走る。鬼平は小林と二人馬を走らせ駆けつけ、犯人たちを切り捨てる。

 役宅に横田大学が訪れ今回の礼に、と二百両を差し出す。鬼平はそれを受け取り、小林に声をかける。小林は涙を流す。そこへ久栄が酒を運んでくるが、その時自分の櫛が戻って来ていることを目撃する。3人は酒を酌み交わす。

 

 なんだまだ良い話が残っているじゃん、というのが一番の感想。

 話としては子供の誘拐、という鬼平では少し珍しい犯罪だが、旗本家での20年前の仕打ちが原因とわかる。当事者の母親もまだ屋敷にいて、その息子が鬼平の力を借りて、犯人の正体を突き止める。犯罪そのものはこの話のメインではなく、その結果として鬼平が横田大学から二百両を受け取る、というのがメイン。本来であれば一つの仕事に対する報酬などは受け取らないのがルールなのだろうが、鬼平は受け取る。しかも与力小林の前で。しかし小林も鬼平や久栄がお金のやり繰りに苦労しているのを知っているので、鬼平が恥ずべき姿を見せたのに涙で応える。良い話じゃん(笑 第7シリーズになり、与力は小林一人体制となり出番が多いが、しっかりとその責を果たしていると思える。

 さらに久栄も自分が鬼平に内緒で売った櫛が戻って来ているのを最後に見かけ、3人で酒を飲むという見事な大団円。

 多々良純さん、河原崎健三さん、磯部勉さんなど豪華なバイプレーヤーの顔が揃っているのも見どころか。

 いやいや第7シリーズ、良いんじゃないの。