意次ノ妄 居眠り磐音江戸双紙 佐伯泰英

●意次ノ妄 居眠り磐音江戸双紙 佐伯泰英

 磐音シリーズ第49作。季節は1788年夏。意次死去と弥助相良へ10ヶ月、意次影の御番衆7名と利次郎霧子寸又峡へ、影の御番衆への偽手紙、田丸輝信兄次助祝言と御番衆に巻かれる、空也槍折れ稽古開始と御番衆との戦い。

 前作から3年?が過ぎ、とうとう意知に続いて意次も亡くなる。これで田沼一派との戦いも終わりかと思いきや、まだ意次の影の「御番衆」7名が残っており、道場の門弟を含め、田沼一派との最後の戦いが繰り広げられる。

 しかしその様子を探っていた利次郎霧子夫婦の機転で、うち2名が小梅村道場へはたどり着けず。残った5名が道場にて戦うことになるが、うち1名は初の実戦となる空也が倒すことに。空也真剣相手に見事なデビュー戦(笑

 

 今回も著者佐伯氏によるあとがきがあり、以前から述べていた50巻での完了ではなくなったことを謝罪されている。しかし前作でも書いたように、どうも田沼意知亡き後の展開はチグハグな部分が多いように思える。本作である意味田沼一派との最後の戦い(土子順桂とは田沼関係なく戦う意思があると思われるため)となる「御番衆」だが、これも突然出て来た感が拭えない。

 本当に意次が最後の執念を燃やし囲っていた最後の切り札ならば、老中罷免された前作あたりで、御番衆の出番があって然るべきだと思うのだが…。

 さてこれで残された敵は、土子順桂ただ一人。あと2作残っているがどんな話が展開するのだろうか。