鬼平犯科帳 第7シリーズ #06 殺しの波紋

第7シリーズ #06 殺しの波紋

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 川に浮かぶ小舟で盗賊の飯坂の音八と犬神の竹松が仕事の分け前を理由に争っていた。竹松は音八を殺し河岸へ泳ぎつく。そこで竹松は別の舟で侍が2人を殺すのを目撃する。竹松はその侍に見覚えがあり、それは盗賊改の与力、富田達五郎だった。竹松は富田に弟の長吉を殺されていた。

 3人の死体が発見される。うち一人が音八と判明、3年前に富田が捕まえた一味の一人だとわかる。それが薬種商橋本屋助蔵、船宿の船頭留吉と一緒に見つかったため、鬼平は不審に思う。

 一方富田は一人娘の幸の婿養子が決まり人が変わったようだと忠吾に言われる。

 富田の元に殺人を目撃したので百両を払えとの脅迫状が届く。鬼平は富田の様子がおかしいことに気づく。鬼平は粂八に富田に手紙が届いていないか調べさせる。女からの手紙があったことを知った鬼平は、彦十とおまさも呼び富田をつけるように命じる。

 富田は手紙を受け取った又蔵に声をかけ、女のことを聞こうとするが、又蔵が同じことを粂八にも聞かれたと聞かされる。

 そんな中、又蔵が殺される。その切り口から鬼平は富田の仕業だと考え、粂八に身を隠すよう命じる。

 富田は1年前、娘が大病をし悩んでいるときに街中で侍に絡まれ謝って斬り捨てたところを橋本屋に見られ強請られていたのだった。

 彦十とおまさは富田をつける。門前の茶屋で休んでいた富田につけ文をする男を見かけ、おまさが跡をつける。手紙には百両の受け渡し日時と場所が記されていた。

 富田は竹松と会う。百両はないことを告げ殺そうとするが、竹松はもし自分が殺されたら仲間が鬼平に知らせること、富田の屋敷の床下で仲間が娘の命を狙っている、その証拠に短刀が刺さっているはず、後3日待つ、と言い残し逃げていく。富田は屋敷の床下に短刀があるのを見つける。

 富田は辻斬りをする。それを彦十が目撃していた。おまさは手紙を渡した男が入った家が竹松の家であることを突き止める。彦十は竹松と富田の関わりを鬼平に話す。手紙の内容がわからない鬼平は竹松を捕まえることに。

 竹松を拷問するが手紙の内容は喋らなかった。夜竹松の元へ粂八が現れ全てを白状するように脅す。そして富田の橋本屋殺しを聞き出すが、殺した理由はわからなかった。

 富田が煙管屋紀伊国屋に目をつけたことをおまさが鬼平に報告する。夜、紀伊国屋に押し入ろうとする富田の前に鬼平が現れ富田を斬る。そして橋本屋を斬った理由を尋ねる。橋本屋は侍殺しを目撃したことをネタに押し込みの手引き、見張りを富田にさせ、富田に百両を渡していた。その金は娘の大病を治すために使っていた。

 鬼平は籠を呼ばせ、富田の遺体を屋敷まで運ぶように命じ、娘の結婚話を壊さないように、と小林に話す。鬼平は彦十、粂八、おまさと五鉄で酒を飲み、富田が悪に染まった理由を思う。

 

 ゲスト与力が登場、そのゲストが悪事に走る、という鬼平にもっともよくあるパターンの話。もっともこれまではゲストは同心がほとんどだったような気がするが。与力は同心よりさらに上の立場のため、悪事に走るということはなかったのか。

 最後に鬼平が語る、小さな悪事を働き、それを隠すためにより大きな悪いことをする、というのが全てを物語っている。これが人間の一つの本性だということか。

 しかし、富田(萩原流行)の最初の侍殺し、街中で絡まれ刀を抜かれたときに、なぜ峰打ちにしなかったのか(笑 これは磐音シリーズを読みすぎたから思うのか(笑

 ドラマとしては、最後の最後に、富田が脅され押し込みの手引きをし百両を受け取りそれを大病した娘の治療費に当てていたことが明かされる。この辺り〜過去の娘の大病と現在は婿を迎えるまで回復〜をもっと丁寧に描いていれば、富田に対しもっと共感できたように思うのがちょっと残念。

 しかし萩原流行さんも既に亡くなられているんだなぁ。