許されざる者

●326 許されざる者 1992

 売春宿で娼婦にバカにされたと思ったカーボーイが娼婦を傷つける。保安官が呼ばれカーボーイは馬を差し出すことで罪を許してもらうが、娼婦たちは怒りが収まらない。そこで皆の持ち金を集め、カーボーイたちに懸賞金をかけ復讐をしてもらうことに。

 マニーは子供と豚の飼育で生計を立てていた。そこへキッドがやってくる。彼は昔人殺しとして有名だったマニーを娼婦たちの懸賞金を狙うための相棒として誘いに来たのだった。しかしマニーは妻と出会いそれまでの生き方を悔い改めており、キッドの誘いを断る。キッドは去って行くが、貧しい暮らしをしていたマニーはキッドを追いかけることに。マニーは昔の相棒ネッドを誘い、キッドを追う。

 街に殺し屋として有名なイングリッシュ・ボブが自らの伝記を書く作家とともにやってくる。しかし保安官は街のルールとしてボブの拳銃を奪い、彼を殴り倒し逮捕する。そして街からボブを追い出す。

 マニーたちが街にやってくる。しかし嵐の中移動して来たためマニーは体調を崩してしまう。ネッドとキッドは娼婦を買いに行き、マニーは一人酒場に残る。そこへ保安官がやって来てマニーの銃を取り上げ、彼を痛めつける。さらに体調を悪化させたマニーを娼婦が看病する。

 体調が戻ったマニーは2人とともにカーボーイを探し出す。そして荒野で狙撃する。しかしネッドはトドメを刺すことができず、マニーがライフルでトドメを刺す。ネッドをこれを機に家に帰ると言い出す。マニーは止めるがネッドは帰ってしまう。

 残ったマニーとキッドはもう一人のカーボーイのいる牧場へ行く。マニーはキッドに殺すよう命じる。これまで強がっていたキッドはトイレに入ったカーボーイを拳銃で撃ち殺す。

 懸賞金のかかったカーボーイ2人を殺したが、キッドは人殺しの恐ろしさに気づく。そこへ娼婦がやってきて、ネッドが保安官に捕まり拷問を受け死亡したこと、ネッドの死体が街で晒し者になっていることを2人に告げる。マニーはキッドから銃を借り街に戻る。そして保安官のいる酒場へ行き、保安官を射殺、抵抗して来た男たちも撃ち殺す。

 

 年明け、ジョン・ウェイン健さんと来たので、3本目はイーストウッドで。

 名作だと噂されていたのは知っていたので楽しみに観たが、前半は正直単調すぎてつまらなかった。しかし後半娼婦たちを傷つけたカーボーイたちを殺し始めるあたりからこの映画の特殊性がわかってきた。

 西部劇、イーストウッドと揃っているのに、単なる西部劇ではない。西部劇では簡単に人が死ぬ、もしくは殺されるのに、この映画では、人殺し=銃で相手を撃ち殺すこと、が重い。ネッドもキッドもその重みに気づき、それを放棄し始める。しかし改心したはずのイーストウッドだけが淡々と人殺しを続ける。妻のおかげで悔い改めたと話し、途中仲間からさんざん勧められても酒を飲まなかったイーストウッドがラストを前にウイスキーの瓶を煽るシーンの意味。

 勧善懲悪ではない。善も悪も簡単に決められるものではない。ここにあるのは、街を守ろうとする保安官の正義、仲間を殺されたイーストウッドの正義。それぞれがあるだけ、ということを描いている。

 イーストウッド監督が観ているものは30年前からブレてないね。必ずしもスカッとする映画ではないけど、良い一本だった。