イースター・パレード

●333 イースター・パレード 1948

 有名なダンサーであるドンは、イースターのプレゼントをいっぱい買って恋人でダンスのパートナーのナディーンの元へ行く。しかしそこでナディーンから、コンビの解消とナディーン個人で新たな契約をしたことを告げられる。ナディーンを拾い育てたという自負のあるドンはショックを受け、酒場でやけ酒を飲む。そこへ友人のジョニーがやって来て、仲直りのためナディーンの家へ戻るように言うが、ドンはまた誰でも育て上げることができる、と言い出し、店で踊っていたハンナに声をかけ、翌日から練習に来るように話す。最初相手にしなかったハンナだったが、相手が有名なドンだと知り、店を辞める。

 翌日練習場に現れたハンナをドンはレッスンする。しかしハンナはダンスの経験がなかった。二人は昼食休憩で街を歩く。そこでスターとして写真を撮られるナディーンを見かける。ハンナはナディーンに憧れるが、ドンは来年のイースターでは君がスターになっていると話す。

 ドンはハンナに服を買い与え、初めての舞台に立つ。しかし結果は成功とは言えなかった。

 ドンはナディーンと食事をするが、その時ハンナとのダンスが上手く行かない理由に気づく。ジョーは街で偶然ハンナと出会い一目惚れする。しかしハンナに逃げられてしまう。ドンはハンナにナディーンの真似をするのではなく、ハンナ自身として売り出すことを決める。このアイデアが当たり、二人は成功して行く。

 二人は新たな舞台に立つためのオーディションを受ける。しかしその舞台はナディーンのショーだった。ナディーンとドンが知り合いだったことを初めて知ったハンナは怒って飛び出すが、劇場の外でジョーと再会し夕食を一緒にする約束をする。

 ホテルに帰ったハンナをドンが訪ねる。ドンはナディーンのショーに出ることを断って来ていた。そこへジョーが訪ねて来る。二人が食事の約束をしていることを知ったドンは一人帰る。ジョーとハンナは食事に行く。ジョーは告白するが、ハンナはドンを愛していることを告げる。

 ドンは一人でナディーンのショーを見に行く。ショーは大成功だった。翌日ハンナはドンがいなくなったことを心配しジョーに連絡する。するとホテルの部屋にドンがやって来て、新たな契約をして来たと告げる。喜ぶ二人は夕食の約束をする。

 夜ハンナはドンの家に行く。ドンは家での食事の用意をしていた。しかし仕事の話をし始め、ハンナは怒ってしまう。ドンはハンナにキスをし、ハンナは機嫌を直す。そして「君と踊る時だけ」の楽譜を見つけピアノを弾き歌い始める。その曲はドンとナディーンの曲だった。

 そして二人の舞台の初日がやって来る。舞台は大成功。二人はナディーンのショーを見に行く。ナディーンは歌い終わった後、客席に降りて来てドンをダンスに誘う。客の前で断れなくなったドンは一緒に踊るが、席に戻るとハンナは帰ってしまっていた。

 ハンナはドンと初めて出会った店で酒を飲み、ホテルに戻る。ホテルの部屋の前にドンが待っていたが、ハンナは怒って部屋に入ってしまう。粘るドンだったが、警備員に連れられホテルを出ることに。

 翌日ジョーがハンナの部屋を訪れ、ドンの状況を伝える。ハンナはあることを思いつく。ドンの家にイースターのプレゼントが届く。不審に思っていたドンだったが、そこへハンナがやって来てイースターのデートに誘う。

 

 傑作と誉れ高いミュージカル。アステアとジュディ・ガーランドだもんなぁ。

 冒頭のおもちゃ屋でのアステアの小道具のドラムを使った歌と踊りは最高。最初から圧倒される。後半の舞台の場面でのあえてスローモーションを使った場面もビックリ。スローモーションに耐えられる踊り、というのもスゴいが、この当時でこの合成は見事。圧巻のシーン。

 ジュディ・ガーランドの歌もスゴいが、ナディーン役のアン・ミラーのタップもスゴい。本物の芸がここにある、といった感じ。

 歌と踊り以外でも、脇役のコメディシーンもある。レストランのボーイのサラダの説明シーン、二人が出会う酒場のマスターのちょっとお節介な格言、など。マスターの格言は華丸大吉の漫才を思い出した(笑

 正直このころのミュージカルは、後半ちょっと間延びするものが多いように感じていたが、この作品はコメディあり、二人の恋の物語あり、なので、間延びもなく楽しく観ることができた。観ておいて損のない一本。