ロープ

●344 ロープ 1948

 フィリップとブランドンは、アパートの一室でデイビッドを絞殺しチェストへ遺体を隠す。自分たちは選ばれた人間であるため、殺人を犯しても構わない、と完全犯罪を行おうとしていた。その部屋でブランドンはパーティを開く。招待客はデイビッドの両親ケントリー夫妻、デイビッドの恋人ジャネット、学友でジャネットの元恋人ケネス、皆の中学生時代の寮監カデルだった。フィリップは何でも疑ってかかるカデルに殺人がバレることを恐れる。

 ジャネットはケネスの前にはブランドンとも付き合っていたため、この場に二人がいることで不機嫌になる。ケントリー夫人は具合が悪いため、姉のアトウォーター夫人が参加する。そしてカデルが最後にやって来る。

 皆で料理を食べ始めるが、フィリップは鳥料理を食べようとしなかった。そこでブランドンがその理由として農場で鳥を絞めた話をし始めると、フィリップはそれを嘘だと騒ぎ始める。それをきっかけにカデルが殺人の正当性について話し始める。ケントリーはそのブラックユーモアを毛嫌いするが、ブランドンは選民思想を持ち出し、カデルの説を援護する。場がシラけて皆その場を移る。その際、ジャネットとケネスが二人きりになるようにブランドンは計らうが、二人は彼の真意を疑う。そして彼を呼びつけて抗議する。カデルはそれを興味深く聞く。そして家政婦から当日のブランドンとフィリップの様子がおかしかったという話も聞く。それを見ていたフィリップはカデルから家政婦を引き離す。カデルはフィリップに話しかけ、何かあったのかと尋ねるが、フィリップは興奮してうまく答えられなかった。

 デイビッドがまだ到着しないことを客たちが騒ぎ始める。どこに連絡してもディビッドは見つからない。ケントリーが妻のこともあるので、と買えると言い出し、客たちは皆帰っていく。カデルは家政婦から預けていた帽子を受け取るが、それはカデルのものではなく、DKのイニシャルが入っていた。

 客たちと家政婦が帰り、ブランドンとフィリップは口論する。そして車を用意させ部屋から出る準備をしようとしたところに電話が鳴る。カデルが忘れ物をしたと帰ってきたのだった。慌てるフィリップ。ブランドンは何とかカデルを早めに追い返そうとする。しかしカデルは酒を飲み始め、ディビッドについて話し始め、ブランドンのいたずらの可能性もあると言い出す。そしてその方法について語り、ブランドンが拳銃を持っていることに気づく。ブランドンは護身用だとごまかすが、カデルはポケットから本を縛っていたロープを取り出す。それを見たフィリップは全てがバレたと思い拳銃でカデルを撃とうとするがカデルに取り押さえられる。そしてチェストの中を確かめる。ブランドンはカデルなら殺人の理由がわかるはずだと言い始めるが、カデルは怒り警察を呼ぶ。 

 

 ヒッチコックの作品だが、タイトルすら知らなかったが、考えさせられる一本だった。日本でも少し前に障害者施設で大量殺人事件があったが、まさにブランドンのような考えを犯人も持っていたのかと思う。劇中ヒトラーの話も出て来るが、ブランドンは全く気にしていないところも怖い。気弱に見えるフィリップはなぜブランドンの行為を止めなかったのだろうか。

 映画としては長回しをした初めての作品、ということで有名なようだが、ブランドンの思想の怖さの方が気になってしまった。うーむ。