見知らぬ乗客

●386 見知らぬ乗客 1951

 ガイはアマチュアでありながら有名なテニスプレーヤー。列車の中で見知らぬ男ブルーノと知り合う。ブルーノはガイが政治家の娘アンと付き合っていて、妻と離婚したがっていることを新聞で読んで知っていた。ブルーノは自分の個室にガイを誘い食事を共にする。食後、ブルーノはガイに交換殺人を持ちかける。ブルーノがガイの妻を、ガイがブルーノの父を殺すというもの。ガイは良いアイデアだという言葉を残し列車から降りる。その際彼の個室に名前入りのライターを忘れてしまう。

 ガイは離婚の話し合いのため、妻の勤めている店へ行き離婚の話をするが、ガイがアンと付き合っていることを知った妻は離婚を認めず子供を産むと言い出す。ガイは自分の子ではないと反論するが、大声で喧嘩をしてしまったため、店の人間に止められてしまう。ガイはアンに電話し状況を説明、妻のことを殺してやりたいと叫んでしまう。

 ブルーノは母親に甘やかされていた。父親はブルーノが精神的に病んでいるため病院で見てもらうべきだと話すが母親は認めなかった。ブルーノはガイに電話をし、離婚がうまく進んでいないことを知る。

 ブルーノはガイの妻に会いに行く。ガイの妻が男友達と遊園地へ遊びに行くのをついて行く。そして妻達が小舟で島へ行った時に妻を絞殺しメガネを奪って逃げる。

 ガイは列車に乗り自宅へ帰る途中、列車内で大学教授と話をする。家に戻るとブルーノがいて、妻を殺してきたと言われる。ガイは驚いてブルーノを追い払う。ガイはアンから電話をもらい彼女の家へ。アンたちはガイの妻が殺されたことを知っており、ガイのアリバイを知りたがった。ガイは列車内での大学教授の話をし彼女達を安心させる。

 翌日警察に出向いたガイは大学教授と出会う。しかし教授は昨夜酒に酔っていてガイのことを覚えていなかった。そのためガイは刑事に常時尾行されることになる。

 ブルーノがガイに接触をしてくる。手紙を無視されると直接会いにくる。その時アンと一緒だったガイはブルーノのことをファンだとごまかすが、テニスコートでブルーノはガイやアンに近く。その際アンはブルーノがファンだと近づいてきた男だとネクタイピンを見て気づく。

 ブルーノはパーティにも来てガイの周りの人間達に接触をする。そこでブルーノは殺人の話を婦人たちとし、首を絞める真似をするが、目の前にガイの妻に似たアンの妹がいたため、失神してしまう。ガイはブルーノをパーティ会場から追い出すが、アンはガイを問い詰め、全てを告白させる。

 ガイはブルーノに電話をしブルーノの父を殺す決心をした、今夜行くと連絡する。しかし父親の部屋で待っていたのはブルーノだった。ガイはブルーノの父に息子のことを全て話すつもりだった。ブルーノは良い考えがあると話しガイを帰す。

 アンはブルーノの母親に会いに行き事情を説明するが、母親は冗談だと話を聞き入れなかった。ブルーノはアンにガイから殺人現場に忘れたライターを取りに行って欲しいと頼まれたと話す。

 アンはガイにブルーノの家に行ったことを話す。ガイはブルーノがライターを現場に置きに行くつもりだと推理するが、その日はテニスの決勝戦だった。ガイはアンに頼み、3ゲームで終わらせるので、外に車を用意しておいて欲しいと頼む。ブルーノはガイの妻を殺した遊園地へ。ガイは決勝戦を戦い始める。ガイはなんとか戦い抜きすぐに遊園地へ向かうが警察に尾行されてしまう。ブルーノは日暮れを待って船に乗るつもりだった。

 遊園地でブルーノを見つけたガイは彼を追うがブルーノはメリーゴーランドへ。ガイを追って来た警官がガイを撃つが誤ってメリーゴーランドの操縦者を撃ってしまいメリーゴーランドが高速で回転を始める。ガイとブルーノは格闘するが、従業員がなんとか急停止をかけメリーゴーランドは大破してしまう。

 事故で瀕死となったブルーノだったが、ガイや刑事の前でもガイの犯行だとほのめかし死んでしまう。しかし彼の手からガイのライターが落ち、ブルーノの企みがはっきりする。

 

 ヒッチコック作品はこのブログで17本目。ヒッチコック作品は、導入部が強烈に面白いけど後半ダレてしまうものも多いが、この作品は最後まで楽しめる作品だった。

 列車で偶然知り合った男から交換殺人を持ちかけられ、相手が勝手に殺人を強行、次はお前の番だ、と言ってくる。ある意味すごい恐怖。しかも主人公は離婚を検討している最中でその妻が殺されたとなると、主人公の立場は相当悪い。その視点で映画を見続けることになる。ラスト、どのように自分の無実を証明するのかと思っていたが、意外にあっさりでここだけがっかり、かな。

 ヒッチコックは「知りすぎていた男」でオーケストラシーンを長く使ったが、この映画でも当時は珍しかったのか、テニスの試合シーンが長く使われる。しかしそのラリー描写の下手なこと(笑 どう考えてもそのラリーの返しの場面じゃないでしょ、という画面が繋がれていて笑う。ただ、観客がラリーのため皆顔を左右に振っている中、一人だけブルーノが真正面を向き続けているシーンはさすが。このシーンのためだけにテニスを題材にしたのかしら。

 最後まで楽しめたということで良しとしましょう。