時をかける少女

●391 時をかける少女 1983

 和子は高校2年生。とある土曜日放課後に同じクラスの吾郎と深町と理科室の掃除に行く。掃除終わりに一人でいた時に実験室から物音がしたため部屋に入ると床のフラスコから白い煙が漂っており、和子はそれを嗅いで気を失う。気が付いた和子は皆と実験室に戻るが何もおかしなことはなかった。

 週明けの月曜の夜、地震が起き吾郎の家のそばが火事になる。和子は吾郎の家に行くが大事にはなっていなかった。家に戻った和子は何者かに襲われるが、気がつくとベッドで寝ていた。翌日和子は登校中にお堂の瓦が落ち吾郎が危険な目にあう場面に遭遇するが、それもまた夢だった。

 和子は学校に行くがその日が月曜であると言われ違和感を覚える。何もかもが一度経験したことばかりだった。部活を早退した和子は深町の家に寄る。子供の頃の二人の思い出である事故を思い出す。二人は事故が元で手に怪我をしてその跡が残っていたのだった。その夜も地震が起こり早めに吾郎の家に駆けつけるが、そこには深町もいた。

 翌日和子は登校中に瓦が落ち吾郎を助けるが、吾郎の手に怪我の跡があることに和子は気付き混乱する。和子は深町の家に行き温室のラベンダーの香りを嗅ぐと、植物採集に行っていた深町の元へワープする。

 本当のことが知りたいと願う和子に深町は土曜の理科実験室へ戻ることを意識するように話す。和子はタイムリープをし、過去のいくつかの場面を見て理科室へ。実験室で和子を待っていた深町は自分は未来から来た人間だと和子に説明をする。

 

 この映画が公開された時にまさに高校生だったため、その状況をよく覚えている。前年にTVドラマで大人気となった原田知世が主演、バラエティ番組でパロディされまくっていた。

 今回久しぶりに観たが、冒頭の実験室で和子が気を失う場面を見て、「あれっこの後どうなるんだっけ」と思ってしまった。最後まで映画を観て、ひょっとしてこの映画一度もちゃんと観たことがないかも、と気付いた(笑 パロディを観まくって、映画そのものを観た気になっていたのかも。

 約40年前の映画だから特撮場面はヒドく、最後のオチが未来から来た人間って…。ラスト、大人になった和子が深町と再会するがお互いに気がつかずにすれ違う、という場面の直後のエンディングで、歌を歌う原田知世が画面に出続けるのはどうなのよ(笑

 そもそも発端となる実験室に、なぜ深町が一人いたの?吾郎ちゃんとゴミ捨て行ってたんじゃないの?月曜火曜を2度繰り返す理由もよくわからないし。

 それでもこの映画が、タイムリープの概念や他人の記憶を自分の都合の良いように書き換えることができるといった設定などを生み出し、のちの映画や小説、漫画などに大いに影響を与えたのは間違いない。

 ラスト主演女優の歌で終わるのは角川映画らしい。原田知世を売り出したかったんだろう。彼女の不思議な歌声は、同じ頃にあった「風の谷のナウシカ」の安田成美に通じるものがある。懐かしい。

 

 余談。吾郎ちゃん役の尾美としのりさん。主演の二人が素人芝居でヤバい中、若い忠吾だけはしっかりしてた。さすが(笑