スターリンの葬送狂騒曲

●419 スターリンの葬送狂騒曲 2017

 1953年ソ連モスクワ。独裁者スターリンの秘密警察NKVDは20年にわたり恐怖で支配していた。敵としてリストに載った者は粛清された。

 ラジオで生放送していたコンサートの録音をスターリンが求め、局員は慌てる。録音をしていなかったためだ。急遽再度演奏をし録音をすることにするが、ピアニストのマリヤは再演奏を拒絶する。彼女は家族をスターリンによって失っていたためだった。それでも局員の願いで彼女は再演奏することに。録音したレコードにマリヤはメモを挟み込む。レコードを受け取ったスターリンはメモを見た直後意識を失い倒れる。翌朝倒れたスターリンが発見され医師が呼ばれるが回復の見込みはないと診察される。

 残された幹部たちはスターリンの「次」を目指し奔走する。ベリヤとフルシチョフによる闘争が始まる。スターリンの娘や息子を懐柔したり書記長代理のマレンコフを懐柔したり。

 その後一時的に回復したスターリンだったが、直後に死亡する。スターリンの葬儀が行われることになり、ベリヤの画策でフルシチョフが委員長を命じられる。ベリヤはマレンコフを懐柔しつつ自らの考えを推し進めて行くが、フルシチョフは自分の管轄下である鉄道までベリヤに抑えられたことに激怒し、鉄道運行を強行する。

 その結果、市民がスターリンの葬儀に参列するためモスクワに押し寄せ、警備隊が発砲する事件が発生。これをきっかけにしてフルシチョフは軍最高司令官と手を組み、ベリヤを逮捕、裁判にかけ処刑する。

 

 なんだかどう見て良いのか最後までわからない映画だった。コメディのつもりなのだろうが、NKVDによる市民への処刑が頻繁に描かれ、とても笑う雰囲気にはならなかった。スターリンが倒れた後の幹部たちの慌てぶりや粛清によりまともな医師がいないという現状など、笑う場面なのだろうがそんな気にならなかったということ。

 史実に基づいて製作されているらしいのでキチンとドキュメント風に作れば良かったのではないかと思ってしまうし、コメディにするなら粛清シーンを大幅にカットして散々笑わせたラストにベリヤの処刑でよかったのでは?

 全く知らなかったソ連の一部の歴史を知れたのは良かったが、どちらにしても中途半端な作風であり残念。