マラソンマン

●430 マラソンマン 1976

 男が銀行の貸金庫から小箱を取り出し、それを通行人に渡す。男は車に乗るが、街中でエンストし、後続車と口論になる。男がドイツ人だとわかり後続車が煽ってきて2台の車は激突炎上、男は死亡する。

 大学生ベーブはジョギング中にその事故を目撃、家でニュースを詳細を知る。

 パリでドクが男が貸金庫から取り出したと思われる小箱をお菓子箱に隠し宝石店のルクレールへ渡す。ドクが店から出ると待たせていたタクシーの側で爆発事故が起きる。

 ベーブは担当教授に論文について聞かれる。教授はベーブの父に世話になったことを話す。ベーブの父は拳銃自殺していた。

 ドクはピーターと接触、狙われていることを話す。ドクはルクレールに言われたオペラを観に行くが、そこでルクレールは殺されていた。ドクはホテルに戻るが、ずっと彼を監視していた男に襲われてを負傷するが、男を倒す。ドクはピーターの元で医者の治療を受ける。そこでドクはゼルの兄が交通事故で死亡したと告げられる。

 ベーブは大学の図書館でエルザという女性と知り合いアタックする。二人はデートを重ね親密な仲になる。その頃南米から白髪の男性がアメリカへ旅立つ。彼は飛行機機内で髪の毛の一部を剃り変装をする。

 ベーブはエルザと公園にいるときに暴漢に襲われる。そのことを兄に手紙で知らせる。すると兄ドクがベーブの部屋へやってくる。ドクはエルザと会うが、その場でエルザがスイス人と嘘をついていることを見抜く。

 ドクは白髪の男性と対面する。ドクは弟に手を出すなと怒る。男性はゼルだった。ゼルは銀行を出た後の安全についてドクに聞くがドクは相手にしないとゼルはドクを刺してその場から立ち去る。

 ベーブは部屋でエルザから電話を受ける。その後、大怪我をしたドクがやってきてそのまま死んでしまう。警察が部屋に来るが、ピーターも現れ、ドクの仕事のことを話す。ドクもピーターも国の秘密組織で働いていること、ドクを殺した犯人をおびき出すためにベーブに囮になってほしいことを話す。

 その後部屋で一人でいたベーブを2人組が襲う。そしてベーブは拉致され、ドクから何を聞いたかとゼルに拷問を受ける。何も聞いていないベーブは答えられなかった。ベーブをピーターが助けに来て、2人組を殺しベーブを連れて出る。車の中でピーターは、ゼルは元ナチスの軍医で違法に集めたダイヤなどを持って南米に潜んでいたこと、ダイヤは銀行の貸金庫に預けてあったこと、ゼルの兄がその運び屋をやっていたが事故で亡くなったこと、ベーブの兄ドクが組織に潜入したスパイだったこと、などを話し、ドクから何か聞いていないか改めて尋ねる。それでもベーブが何も聞いていないと答えると、車は元の拉致された場所へ。

 さらにゼルにより拷問を受けるベーブだったが、何も答えない彼が本当に何も知らないと判断したゼルは、彼を殺すように指示。2人組はベーブを連れ出すが、隙を見てベーブは逃げ出し、エルザに連絡をする。エルザがとある家へベーブを連れて行く。ベーブはエルザもゼルの一味だと気づく。そこへピーターと2人組がやって来る。話し合いを始めるが、銃撃戦となり、ベーブはピーターを射殺する。

 ゼルは銀行へ行く前にダイヤの値段を確かめようとユダヤ人街を歩くが、そこで何人かに元ナチスだと見抜かれ逃げることに。そして銀行へ行き自分で貸金庫からダイヤを取って来るが、銀行の外に拳銃を持ったベーブが待っていた。彼はゼルを施設へ連れて行く。ゼルの袖口に隠されたナイフで格闘となるが、ベーブはダイヤが入ったケースを投げ、それを取りに行こうとしたゼルは足を踏み外し、自分のナイフで自分を刺してしまう。

 ベーブは施設を出て、拳銃を捨て、ランナーたちの間を帰って行く。

 

 これまた何の情報も持たずに見始めて驚いた。2人の主人公(ベーブ=ダスティンホフマン とドク=ロイシャイダー)の話が並行して描かれるが、関連性がよくわからないまま話が進んで行く。2時間ほどの映画だが、半分経過したところで、やっと2人が兄弟だと判明する。それでもドクがなぜ狙われるのか、相手は誰なのかが何だかよく分からないまま。

 映画の3分の2、1時間20分ほど経過したところで、やっとゼルの正体が元ナチスであることが判明する。あぁそんな話なんだとわかるが、結局兄ドクの役割は何だったのか、その仲間と思われるピーターの役割は?と思っていると、ラストシーンが終わってしまう。

 仕方なくネットの考察ページを読んで、何とか理解できた。アメリカが国として元ナチスすら使っていたのでは、という考察は驚かされる。というか、この当時の政治に対する不信感の大きさがこの映画を作ったのね。

 話の展開が読めずに進行する映画は大好きだが、この映画は伏線を回収していないというか、説明が足りないというか(当時のアメリカ人は納得できたのかしら)、そこが分かりやすければもっと面白かったのに。残念。

 蛇足。ローレンスオリビエで元ナチスって、「ブラジルから来た少年」を思い出した。でも真逆の役なのね。2年差で製作された映画で、両方に真逆の役で出演ってちょっと面白い。