シャーロック・ホームズ死の真珠

●452　シャーロック・ホームズ死の真珠　1944

　船の客室の中で男が真珠をカバンに隠す。すると船員が無線室に伝言があることを伝えにきたため、男は客室を後にする。その隙に女がその客室に忍び込み、しばらくして出てくる。女は眠っていた牧師と会話を再開する。客室の男が戻ってくる。船が到着しそうになり、女は牧師に自分のカメラが税関で調べられると中のフィルムがダメになるので、牧師なら調べられないだろうとカメラを牧師に託す。

　客室の男は博物館の配達人でボルジアの真珠を運んでいた。それを見せようとするが、宝石箱の中は空だった。女は牧師からカメラを受け取り、待っていた車へ。中にいたコノヴァーは女ナオミに、クリーパーが君を待っていると告げるが、ナオミは困惑する。コノヴァーはナオミからカメラを受け取るが、中に真珠はなく、メモが入っていただけだった。メモにはホームズからのメッセージが書かれていた。

　ホームズはベーカー街に帰り、ワトソンに真珠を見せる。そこへ真珠盗難事件のことでレストレードが現れたため、真珠がここにあることを告げる。3人は博物館へ真珠を返しに行く。館長は真珠をまた展示しようとするため、ホームズは警備体制について尋ねる。館長は警報装置を見せるが、ホームズは配線を切り、装置ではダメだと話す。その時館内で騒ぎが起きる。清掃員に化けていた男が、ホームズが警報装置の配線を切った隙に真珠を盗み逃亡したのだった。

　しかしコノヴァーはあっさりと捕まる。ホームズはコノヴァーがわざと捕まったと考え、真珠は誰かに渡したかどこかへ隠したのだと推理する。ホームズはコノヴァーへの食事の差し入れを許可するようにレストレードに話す。彼はコノヴァーの食事の食器を調べるが警部をバカにするメモしか見つけられなかった。食器を持ち帰った店では女が食器からメッセージを読み取っていた。

　真珠を盗まれたことでホームズの評判が落ちる。ワトソンはベーカー街で心配していた。そこへレストレードが現れ、殺人事件があったことを告げる。被害者が背骨を折られていたと聞いたホームズは捜査に同行する。犯行現場では陶磁器が割られていた。ホームズは犯行の手口からクリーパーの仕業だと考える。クリーパーはコノヴァーの右腕だったため、真珠盗難と関連があると推理する。現場から出たホームズたちはコノヴァーたちに襲われる。ホームズはコノヴァーたちがまだ真珠を手に入れてないと判断する。

　ホームズが留守の間にベーカー街に老人が訪ねてくる。彼は昔の事件で世話になったからとホームズに辞典をプレゼントしにきていた。帰ってきたホームズはワトソンから話を聞き、タバコの吸殻からその男が昔の事件の関係者ではないことに気づき、辞典に仕組まれていたナイフに気づく。そこへレストレードからまたも背骨を折られる殺人事件が起きたと連絡が入る。現場に行くとそこでも陶磁器が割られていた。さらに3人目の被害者も出てしまう。

　それぞれの殺人事件現場で割られた陶磁器の破片を警察から送ってもらったホームズたちはその中からナポレオンの胸像の破片を見つけ、それはどの現場でも見つかる。ホームズはコノヴァーがナポレオンの胸像に真珠を隠したのだと推理、博物館から逃げたコノヴァーを捕まえた警官に確かめに行く。そこで逮捕時そばに陶磁器の工房があり、そこでナポレオンの胸像が6つ作られていたこと、それらがホッダーの美術店に売られたことを聞き出す。ホッダーの店に行ったホームズは6つのうち2つが壊され、4つが売られたこと、を知る。最後の1つの購入者を聞こうとするが、台帳が書き直されていたことに気づく。そして店の女性店員がナオミであることにも。ホームズはナオミの電話を盗み聞きし本当の購入者を突き止め、ナオミも逮捕する。

　本当の購入者だった医者の家へコノヴァーがクリーパーとともに訪れる。しかし待っていたのはホームズだった。拳銃を奪われピンチになるホームズだったが、ナオミが死刑になると嘘をつき、クリーパーを怒らせる。クリーパーはコノヴァーを絞め殺し、そのすきにホームズは拳銃を奪う。ホームズとワトソンは最後のナポレオン像から真珠を発見する。

　先日観た「シャーロックホームズの殺しのドレス」が面白かったので、Amazonプライムで他の作品を観ることに。

　船内客室での盗難からホームズが牧師？に化けていたことが判明する冒頭が素晴らしい。出来の良い映画の冒頭で、一気に話に引き込まれる感じ。

　ストーリーは、前半先に述べた盗難騒ぎから、ホームズの失態（警報装置を断線させるがその隙に真珠を盗まれてしまう）とオリジナリティのある話だったが、途中から原作「6つのナポレオン像」をモチーフにした展開になる。

　さらに言えば、最後まで顔を見せないクリーパーなる怪腕の殺人者がいるが、この男と一味のナオミの関係が、まるで「さらば愛しき人よ」の大鹿マロイとヴェルマを彷彿とさせる。つまり「6つのナポレオン像」と「さらば愛しき人よ」のダブルパロディのような話で面白かった。

　このシリーズは尺も短く、それでいてなかなか面白いホームズ物なので、もっと観たいのだが、Amazonプライムさん、他の作品も公開してくれるのかしら？