阿川佐和子のこの棋士に会いたい 阿川佐和子

阿川佐和子のこの棋士に会いたい 阿川佐和子

 藤井四冠ブームに乗って、週刊文春の名物コーナーでの将棋棋士10名+1との対談をまとめた対談集。対談の相手は、杉本昌隆、先崎学佐藤康光佐藤天彦羽生善治森内俊之米長邦雄瀬川晶司谷川浩司渡辺明伊奈めぐみ

 はじめに、で阿川さんが書いているように、渡辺名人と夫妻との対談を除き、時代を遡っての順番で過去の対談が掲載されている。最新の杉本八段が2020年、最も古いのが谷川九段の1997年。

 ちなみに話題の藤井四冠の話題は、2018年の佐藤康光会長の対談で初登場、その一つ前の2016年の佐藤天彦九段では話題に上がっていない。

 約25年の間の対談をまとめたものだが、阿川さんが将棋のルールや将棋界のことを全く理解できていないので、対談内容はそちらは期待してはいけない(笑 それでも、天彦九段以前の対談は、その時々で世間的にはあまり話題になっていなくても、将棋界では話題となった人物をターゲットとしているため、話題そのものが懐かしく感じる。名人就任直後の天彦九段だったり、羽生森内が名人戦で戦い続けていた時の森内さんだったり。米長さんがコンピュータに負けた話も出てきたのは本当に懐かしかった。

 意外に知らないことも多くて、天彦九段が奨励会からフリークラスへ行けるチャンスを見送って四段に上がったのは知らなかった。瀬川さんのプロ入り試験の相手もあんなにバラエティに飛んでいたのは知らなかったし、それを決めたのが当時の米長会長というのも知らなかった。

 

 それでも全体的に、まさに藤井四冠ブームに乗った一冊で、観る将ファンになりたての人が読む本だな、こりゃ。