ひまわり

●529 ひまわり 1970

 戦争後、ジョバンナは行方不明の夫アントニオの消息を役所で尋ねるが明確な答えは返ってこなかった。

 ジョバンナとアントニオは戦争中に激しく恋に落ちた。しかしアントニオは出征間近だったため、結婚をすることで12日間の休暇を得ることに。その12日が終わろうとしていた時、アントニオは精神をおかしくして入院してしまう。しかしそれは出征をしないための仮病だった。それを見抜かれてしまったアントニオは懲罰としてソ連戦線へ送られることに。

 必ず帰ってくると話しアントニオは毛皮を土産にすると言い残し駅から旅立つ。

 戦争が終わり義母とともにアントニオの帰りを待ちわびるジョバンナだったが、連絡はなかった。そんな時、アントニオと一緒の部隊にいたという男と出会い、彼が雪の平原で倒れてしまったことを告げられる。

 ジョバンナはソ連へ行きアントニオを探すことを決意、ソ連へ旅立つ。関係省庁で話を聞き、多くの兵士たちが眠るひまわり畑も見せてもらうが、ジョバンナはアントニオが死んだとは考えず、なおも消息を訪ねて人々に訪ね歩く。

 駅でイタリア人を見かけ彼に話しかけるが、彼はソ連で生きていくことを決意していた。アントニオも、と期待を抱くジョバンナはさらに彼を探し続ける。

 ある村でアントニオの写真を見せた際にその男ならそこの家に暮らしていると聞き、その家へ案内してもらう。しかしそこには若い女性マーシャとその娘が暮らしていた。マーシャから雪の中倒れていたアントニオを助けた話を聞き、事情を察したジョバンナ、アントニオが列車で帰ってくる駅へ一緒に向かうが、彼の姿を見てそのまま列車で去ってしまう。

 イタリアに帰ったジョバンナはアントニオの写真を捨て、義母にも彼が生きていたが、ソ連で家族を持ったことを告げる。ジョバンナは新たな男たちと遊び始める。

 一方アントニオは新しい団地へ引越しをするが、ジョバンナの姿を見たことで複雑な思いを抱いていた。その姿を見たマーシャはアントニオがイタリアへ一度戻ることを許す。アントニオはイタリアに戻りジョバンナに連絡、彼女の家で会うことに。以前約束した毛皮をプレゼントし一緒に行こうと話すが、ジョバンナにも夫も子供もいるのだった。

 アントニオはソ連へ戻ることに。駅に見送りに行ったジョバンナはアントニオが乗った列車が去っていくのを見て涙する。

 

 名作であることも、テーマ曲が有名であることも随分と昔から知っていたが、ストーリーなどは全く知らず、今回が初見。冒頭のテーマ曲を聞いただけで圧倒された。

 最初の30分、アントニオとジョバンナのラブラブぶりから一転、仮病がバレ、ソ連戦線へ行くことになったあたりで、「哀愁」を思い出した。ちょっと意外だったのは、ジョバンナが一人でソ連へ行く下り。イタリア女性の強さを象徴しているのか。

 ジョバンナがアントニオを探し当てるのは、出来過ぎだと思うが、こうしないとその後の展開とならないので仕方ない(笑 その後の展開は予想通り。戦争によって別れることになる男女の悲劇が丁寧に描かれる。

 わかっていても、ラストの駅での別れのシーンは秀逸。テーマ曲も含め、これが名作というお手本。

 

 蛇足だが、この有名なテーマ曲、何度聞いても「犬神家の一族」の愛のテーマを思い出すのはどうしてだろう。