耳をすませば

●534 耳をすませば 1995

 雫は本を読むことが好きな中学生。図書館で本を借りているが、自分が読む本の貸出カードに天沢聖司という名前がいつもあり、その人のことを気にしていた。

 友人の友子がラブレターをもらったことを雫に相談する。友子は杉村のことが好きだと告白する。二人は帰ろうとするが、雫は本を忘れたことに気づき、二人で座ったベンチへ行くと男の子がその本を読んでいた。彼と会話をするが、雫は悪い印象しか抱かなかった。

 雫は電車に乗っている時に猫がいることに気づく。その猫の後をつけ地球屋という店にたどり着く。雫は店にあったバロンという名の猫の人形が気にいる。

 雫は先生に本のカードにあった天沢聖司のことを尋ねる。そして同級生に天沢という少年がいることを教えてもらう。友子から電話があり、杉村から友人からラブレターの返事を代わりにもらってきてくれと頼まれたと言われたと話しショックを受けていた。友子は翌日学校を休む。雫は杉村から友子が休んだことについて聞かれ、正直に友子の気持ちを杉村に伝えるが、杉村から雫のことが好きだと告白を受けてしまう。

 自己嫌悪に陥った雫は地球屋へ行くが、店はお休みだった。店の前で猫と話をしているとそこへあの男の子がやってきて、店の中を案内してくれることに。雫はバロンを眺めていると日が暮れてしまう。男の子がいる場所へ行くと彼はバイオリンを製作していた。バイオリンを弾くことを頼む雫だったが、彼はその代わりに歌を唄えと話す。二人が演奏していると店の主人が友人たちとやってきて一緒に演奏することに。そこで雫は初めて彼が天沢聖司であることを知り、彼がバイオリン作りのため留学をしたがっていることを聞く。

 翌日彼が留学を決めたこと、図書館のカードで雫のことを知っていたことを雫は聖司から聞き、自分の将来について考え始める。そして物語を書くことを決意する。聖司が留学をし、雫は物語を書き始める。成績が落ち母親や姉から注意をされるが、父親は雫が思う通りにやってみるといいと話す。小説を完成させた雫は地球屋の主人にそれを読んでもらう。それは主人の経験と重なる話だった。

 聖司が留学から帰ってくる。雫を連れて高台から街の風景を見ながら聖司はプロポーズをし、雫はそれを受け入れる。

 

 またまた金曜ロードショーでやっていた一本を観ることに。ジブリの宮崎アニメは全て観ているが、他のジブリ作品はほとんど観ていない。もちろんこの映画のことは知っていて、どこかで観たことがあるつもりでいたが、実際に鑑賞して初見であることに気づく。脚本が宮崎駿なのも初めて知った。と同時によくこんな平凡なラブストーリーを作ったなぁと感じたが。

 ネットで映画のことを調べたが、宮崎駿

 「この作品は、自分の青春に痛恨の悔いを残すおじさん達の、若い人々への一種の挑発である」

 と述べていることを知り、納得。『おじさんたちの悔い』がそのまま形になっているもの(笑

 もう一つの宮崎の言葉。

 「この作品は、一つの理想化した出会いに、ありったけのリアリティーをあたえながら、生きることの素晴らしさを、抜け抜けと唱いあげようという挑戦である」

 「挑発」であり「挑戦」であるというこの映画。まさに狙い通りに仕上がっている。

 

 蛇足。バロンの声優が露口茂さん。NHKで先日まで再放送されていたホームズ!