英国王のスピーチ

●543 英国王のスピーチ 2010

 1925年、大英帝国博覧会の閉会式でアルバート王子は、父の代理として演説を行うが吃音症のため上手く話せなかった。王子の妻はアルバートをローグの元へ連れて行き、治療を受けさせる。しかしローグの態度に怒ったアルバートは怒って退席してしまう。ローグは仕方なく録音した王子の声のレコードを手渡す。

 王子は父から兄の生活の乱れを指摘され、王子自身がしっかりとするようにと叱責される。王子はローグからもらったレコードで自分の声を聞き、再度ローグの診察を受けることに。診察と訓練を受けることで王子はローグを信頼し始めるが、ローグはアルバートの兄のことを知り、アルバートこそ国王になるべきだと話すが、それを聞いたアルバートは激怒、再びローグの元を去ってしまう。

 父ジョージ5世が亡くなってしまい、兄が国王の座につく。しかし兄は離婚歴のある女性と恋しており、結婚を望むが、政治家たちからの反対を受ける。兄は女性との結婚のため国王の座を退き、弟であるアルバートに国王の座を譲る。戴冠式を前にローグは医者ではないことがバレてしまうが、アルバートが彼をかばう。

 英国はドイツとの戦争状態に突入する。国民に向けラジオで演説をしなければいけなくなったアルバートはローグとともに演説の場所へ向かう。そして演説を成功させる。

 

 冒頭のシーン、主人公がスピーチを失敗する。そして映画タイトル。この二つから映画全体の展開は読めてしまう。それでも約2時間の映画は楽しく観ることができた。

 主人公のスピーチに関する訓練もあったが、それよりは主人公がローグに自分自身の気持ちや生い立ちなどを吐露する場面に説得力があり、そちらの方が見せ場となっている。

 日本人の自分としては、皇族、しかも国王となるべき人間が、自身の愛のためにその座を降りてしまうということが驚きだったが、イギリスではそれも受け入れられているようなのがもっと驚き。日本ではこうはいかないだろう。

 さらに、先日亡くなったエリザベス女王の幼少期が描かれているのも、なんという偶然か。様々な意味で、イギリスの秘密を知った気になれる一本だった。