恋におちたシェイクスピア

●544 恋におちたシェイクスピア 1998

 1593年、ロンドンにあった2つの劇場。人気役者バーベッジのいるカーテン座は人気を博していたが、ローズ座は興行主ヘンズローが借金取りに催促を受けていた。

 ヘンズローはシェイクスピアに新作の台本作りを頼んでいたが、彼はスランプに陥っていた。惚れた女性に腕輪を送ることでスランプから脱出しようとしていた。その頃、令嬢ヴァイオラは芝居に夢中だった。

 シャイクスピアは新作の1部を書き上げるが、惚れた女性が他の男と寝ているのも目撃、新作を捨ててしまう。それでもヘンズローから新作を請われたシェイクスピアは新作が出来たと嘘をつく。それを聞いたヘンズローは新たな役者たちを集めるため、オーディションを行う。シェイクスピアは、ローズ座の劇作家マーローから新作のヒントをもらう。

 オーディション会場にいたシェイクスピアは、トマスと名乗る男性を見てその才能を見抜くが、トマスは逃げてしまう。シェイクスピアは彼を追い、レセップス家の屋敷にたどり着く。夜、屋敷のパーティに潜り込んだシェイクスピアは、令嬢ヴァイオラに一目惚れをし、テラスで話をする。ヴァイオラは男装をしオーディションを受けたトマスだったが、彼女はシェイクスピアにはそのことを秘密にして、新作の舞台稽古に参加することに。

 ヴァイオラに目をつけていたウェセックス卿が彼女に結婚を申し込む。それは両家の政略結婚で、彼女の両親も承諾していた。ある日トマスを屋敷まで送ったシェイクスピアは、トマスがヴァイオラであることを知る。二人は激しく愛し合う仲に。シェイクスピアは新作の続きを、ヴァイオラとの愛に絡めて書き進める。

 女王陛下との賭け、友人マーローの死などを経て、シェイクスピアの新作は完成するが、トマスが女性であることがバレてしまい、ローズザは閉鎖となってしまう。この時代、女性が舞台に上がることはご法度だった。

 カーテン座のバーベッジが協力し、シェイクスピアの新作はカーテン座で行われることに。その日、ヴァイオラウェセックス卿との結婚式を迎えていたが、シェイクスピアの新作公開のビラを見て、式から抜け出す。トマスがいなくなったため、主役のロミオはシェイクスピアが演じることになった。しかし当日、ジュリエット役の役者が声変わりをしてしまい、女性の声が出なくなってしまう。ヘンズローは客席でヴァイオラと会い、ジュリエット役に抜擢。無事芝居はスタートする。

 舞台は成功するが、そこへ宮廷官たちが現れヴァイオラを逮捕しようとするが、お忍びで芝居を観にきていた女王により逮捕は免れる。しかし女王はヴァイオラウェセックス卿の元へ帰るように諭す。

 ヴァイオラシェイクスピアの元へ別れを告げに行き、芝居を書き続けて欲しいと懇願する。シェイクスピアは彼女から聞いた話を元に新作を書き始める。

 

 これも設定を考えた時点で勝ちの映画か。シェイクスピア恋物語が、名作「ロミオとジュリエット」の元になって書き進められた、という設定は見事。しかもシェイクスピア一人の力ではなく、周りの人間のアイデアも取り込まれながら、話が完成して行く様が絶妙だった。

 画面も素晴らしかった。1593年、日本で言えば戦国時代。戦国を描いた出来の良い映画と同じように、当時の街の景色や衣装などが見事に再現されていたのではないか。もちろん当時のそれらを知っているわけではないが(笑

 シェイクスピアの小説は全く読んだことがないが、ちょっと読んでみたくなった。